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伝え育てるオリンピアン~スケート王国の歩み(3)「努力結実 成長を手に 野崎貴裕さん」

芽室高正門前で「指導ではそれぞれの個性、特性に合わせてアプローチをしている」と話す野崎さん

1998年長野大会出場
■野崎貴裕さん(47)=芽室高教諭

高校生に説く「諦めない」

 王子製紙1年目で1998年長野五輪出場を果たした。「堀井学さんら先輩方と過ごす中で、当然出場すると考えていた。練習は厳しいとは思わず、目標に向かってやるべきことをやっていた感覚」と振り返る。

 それでも五輪では独特な緊張感を味わった。5000メートルは17位に終わり、16位以上に与えられる1万メートルを滑る権利を逃した。「当時は悔しさと情けなさが強かった。ただ、頑張った成果が五輪という形になったと、今は肯定的に考えられるようになった」と話す。

 五輪に出たことによるつながりや、見ることができた景色があったという。「自分の幅がずいぶん広がった」と大きな財産を得た。

 芽室高赴任4年目。スケート部とサッカー部の顧問を務める。スケート部は現部員が2年生1人。前任の帯工高にはスケート部がなく、陸上部顧問などをしながら、希望する生徒にスケートを指導した。十勝に赴任する前は、競技がそれほど盛んではない地域で教えることも経験した。

 競技に打ち込む高校生の姿勢はさまざまなだけに、「スケート技術の向上による楽しみを伝え、個々の目指すものを手助けできる環境を整えたい」と考えるようになった。五輪を経験し、目標を持つことの大切さを実感した。「生徒たちにも一つ一つの過程を諦めずにクリアすることを呼び掛け、支援している」

 帯広スケート連盟の理事も務め、冬場は毎週末の大会でスターターを務めるなど運営にも携わる。

 北京五輪に出場する選手については「現時点で考えられる日本の最強布陣。個人的には、指導機会はなかったが帯工高出身の村上右磨選手や男子長距離勢に期待したい。プレッシャーを力に変えて、結果を残してほしい」と後輩たちを激励する。(松村智裕)

<のざき・たかひろ>
 1974年本別町生まれ。本別中央小、本別中、本別高、日本大卒。1998年長野冬季五輪で5000メートル17位。2003年現役引退後、苫小牧東高、白糠高などで教べんを取り、十勝では11年から帯工高、18年から芽室高で教えている。


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