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地域交通に暮らしの視点 十勝バスもモデルケースに 国交省 コロナ後へ研究会

5日に運行が始まった十勝バスのマルシェバス。バスの車両内に食品や日用品などさまざまな商品が並ぶ

 国土交通省はアフターコロナ時代の地域交通の方向性を考える新たな研究会を立ち上げた。新型コロナウイルスの影響で旅客の輸送需要が減少する中、地域の足としてのセーフティーネットに加え、地域住民の暮らしの充実なども含めたコミュニティーづくりで果たす役割に着目し、地域交通の新たな可能性を探る。十勝バス(帯広市、野村文吾社長)が市内大空地区で進めている地域活性化の取り組みも、モデルケースとして研究していく。

 地域交通をめぐっては、従来の人口減少に加えて、新型コロナの影響で利用が減少し、同省は「路線の廃止・撤退が雪崩を打つ交通崩壊が起きかねない状況」と危惧している。研究会では、地域交通の存続に向け、介護や教育、商業施設などの他分野も含めた多様な関係者による共創を通じ、地域コミュニティーにおける新たな役割の可能性を探る。

 十勝バスは新型コロナによる減収を受け、収益の多角化を進めている。高齢化が進む一方、子育て世代も増えている市内大空地区に着目して経営資源を集中的に投入。「大空ミクロ戦略」として、現在はデマンドバスや宅配、焼き肉店事業などに取り組んでいる。5日からは、食品などを載せたマルシェバスの運行も始めた。同地区の地域活性化と自社の収益確保により、路線維持など交通事業の継続にもつなげていく狙い。

 国交省は同社の取り組みについて、「介護サービスなども含め、いろいろなジャンルで連携したコミュニティーづくりを行っている。研究会で目指そうとする姿を先進的にやっている例」とし、今後の研究材料とする予定。十勝バスの野村社長は「国も同じような考えを持っていることが分かった。このチャンスを生かしていきたい」と話している。

 研究会は同省地域交通課が主導し、交通やまちづくりなどに携わる有識者で構成し、11月2日に初会合を開いた。来年3月に中間整理を公表する。(津田恭平)

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