曽根氏(ネクサス会長)に事業承継 珈琲専科ヨシダ
珈琲専科ヨシダ(帯広市)は、ネクサス(同)の会長などを務める曽根一氏(68)にほぼ全株式を譲渡し、曽根氏が代表取締役社長に就いた。前社長の三野宮厚子氏(64)は副社長となり、当面は営業の指揮を執る。三野宮氏側が第三者間での事業承継を模索する中で実現した。曽根氏は「私は“つなぎ”。企業価値を高めて後継を育成して将来を託したい」と話している。
同社は資本金1000万円、年商約1億2000万円(2019年3月期)。三野宮氏の母吉田とよ子氏が1975年に創業し、81年に株式会社に移行した。
市内西15南1に焙煎(ばいせん)工場兼本店を置き、藤丸など管内5店舗を営業。近年は十勝産野菜を糖液に漬けて低圧乾燥させた「十勝糖彩」を販売、他社からの焙煎委託も受注する。
三野宮氏は1999年に社長を受け継いだが、親族に後継者がおらず、昨年から専門機関にM&A(合併・買収)を含めて相談。20年来の友人だった曽根氏が承継を申し出た。曽根氏は8月に株式を取得し、社長に就任した。従業員22人は雇用を継続、店舗運営も変更はない。
道中小企業家同友会の代表理事なども務める曽根氏は、「(ヨシダは)ブランド力がある企業で残すべきと思った。価値がある企業が将来持続できるよう、地域でつなぎ育てる承継のあり方は今後大事になる」と強調。三野宮氏は「曽根氏の広い人脈も活用し、営業基盤を強化したい」と話している。(佐藤いづみ)