新型トラクターを制御 作業機から遠隔で 芽室のフクザワ・オーダー農機
農機具開発のフクザワ・オーダー農機(芽室、福澤剛志代表)はとかち財団(長澤秀行理事長)と共同で、農作物の収穫などに使う作業機に乗りながらトラクターを遠隔制御できる装置を開発した。農機大手ヤンマー(大阪)の新型トラクターに対応し、この装置でトラクターの車速を確認しながら速度を変えたり、緊急停止させたりする。農作業を効率化し、事故防止にも役立つとみている。
ヤンマーアグリジャパン北海道支社(江別市)が26、27日に開いた十勝合同展示会で初披露した。新装置はトラクターがけん引する作業機に取り付ける。
作業機側からトラクターを動かす装置は以前にもあったが、ヤンマーの新型「YTシリーズ」は高度な電子技術が盛り込まれ、従来の装置では遠隔で制御するのが難しかった。今回の装置はYTシリーズに初めて対応したものとなる。
トラクターの車速をパネル表示できるのも特徴。速度に関する情報をトラクター側から読み取り、装置に表示する仕組みづくりは、とかち財団が協力した。
ジャガイモなどの収穫作業は通常、トラクターの運転と作業機の操作に最低2人は必要。ただ走行中はエンジン音などで互いの声が聞き取りづらく、トラクターと作業機の間を行き来する中で事故が発生するケースが少なくなかった。
新装置によってトラクター運転者の労力が減り、作業機に乗る生産者の事故リスクも軽減できる。販売予約の受け付けを開始し、価格は税別60万円前後。ヤンマーが販売元となる。
フクザワ・オーダー農機は生産者が楽な姿勢で作業できるナガイモ植え付け機も開発し、2017年度に機械振興協会(東京)の「機械振興協会会長賞」に選ばれている。
(伊藤正倫)