交通遺児の思い引き継ぐ 新得署敷地内でヒマワリ満開
【新得】交通事故撲滅の願いが込められたヒマワリの花が、新得署(石川憲章署長)の正面玄関横の花壇で大輪を咲かせている。2011年に交通事故で亡くなった京都府木津川市の男児(当時4歳)が、生前大切にしていた種を全国の警察署に広がるプロジェクトに賛同したもので、署員らが育ててきた種は今年初めての開花となった。
当時事故を担当した京都府警の警察官が、自宅の庭で咲いたヒマワリの種を遺族から託されたことがきっかけ。男児が幼稚園から持ち帰ったものだった。
府警は全署などに種を配布し、種を引き継ぎながら命の大切さなどを訴える「ひまわりの絆プロジェクト」が始まった。15年の男児誕生日に合わせた5月18日に、府警全署で植栽式を行い、活動の輪が全国の道府県警などに広がっていった。種は各地で事故防止のシンボルとして植えられるようになり、新得署でも昨年、釧路方面本部を通じて譲り受けた。
6月にまいた種は5本が9月に咲き始め、現在は約2mの高さにまで伸び、直径20センチほどの大輪が満開に咲いている。9月の台風による強風で折れそうになった茎には、署員らが添え木やロープで補強を施しながら大切に育ててきた。
この花から採れた種は、来年にも町内小学校などに配布する予定という。新得署の今井陽平警務係長は「絆プロジェクトが、新得署管内の交通安全啓発にもつながってほしい。さらに運動を広めていきたい」と話している。(佐々木健通信員、小寺泰介)