ムスリム対応で帯商が公開「礼拝所」開設
帯広商工会議所(高橋勝坦会頭)は、共同所有する帯広経済センタービル(西3南9)内に、ムスリム(イスラム教徒)の人たちが広く使用できる「礼拝所」を開設した。まちなかへのインバウンド需要に対応するのが狙いで、使用開始は7月から。帯商は「帯広ではまだ数少ない。今回をモデルに、飲食店などへの開設を後押ししたい」(国際ビジネス推進室)としている。
礼拝はイスラム文化で欠かせないもので、基本、場所は問わないが、手足や口、顔などを水で洗って清めた上で、1日5回、メッカのカーバ神殿の方向(キブラ)で行う。
マレーシア出身でイスラム教徒の帯商職員のシティ・アズミラさんは「特に旅行など普段とは違い、礼拝する方角もすぐに分からない場合が多い。また、旅行者などが広く使える礼拝所は市内にはほとんどないと思う。逆に専用のスペースで清めたり、礼拝する方角が分かったりするだけで、ムスリムの人たちへの安心感につながる」とする。
ビル内3階の空き部屋にポリタンクに入った簡易水と、足などを洗えるおけなどを設置。女性が体を覆う民族衣服や、敷物などの替え、脱衣スペースも配備。男女で礼拝スペースを分けており、それぞれ、敷物の先にキブラが示されている。経費はほとんどかかっていないという。
帯商は近年、インバウンド強化でムスリム対応メニュー提供の飲食店へのアドバイス事業などを進めており、「礼拝所というと構えてしまうが、ちょっと工夫することでムスリム対応になると知ってもらえたら」と話す。問い合わせは帯商国際ビジネス推進室(0155・25・7121)。(佐藤いづみ)