上厚内「駅名標」盗難 来月廃駅で警戒強化
【浦幌】3月4日のJRダイヤ改正で廃駅となるJR根室線の上厚内駅(町上厚内)のホームに設置された「駅名標」が盗難に遭ったことが、9日までに分かった。廃止となる鉄道の備品が持ち去られる事件はこれまでにも全国各地で発生しており、廃駅まで1カ月を切る中、池田署やJR北海道は新たな窃盗被害が出ないように警戒を強めている。
同駅は1910年に上厚内信号所が設置され、26年に駅に昇格。現駅舎は53年に建てられた。国鉄時代から現存する木造駅舎として鉄道ファンに知られるが、利用客が少ないため3月3日を最後に廃駅となる。
盗難に遭ったのは、駅ホームの釧路方面に位置する柱に取り付けられた「かみあつない」と記された駅名標。縦約80センチ、横約20センチで、青色を背景に、ひらがなの白い文字で駅名が記される。JR乗務員が昨年11月下旬に駅名標がないことに気づき、池田署に被害届を出していた。
これを受けて池田署は、駅構内に「駅の備品を持って帰るのは犯罪です」という張り紙を掲示し、不審者を見たら110番通報するように呼び掛けている。
JR北海道は管轄する浦幌駅(長澤弘幸駅長)が来駅者へのメッセージを掲示。長澤駅長が文面を考え、「これから、たくさんの鉄道ファンの皆様が来駅され記念撮影をされると思います。最後の日まで、皆様にすてきな記念撮影をして頂けるように、皆様のご協力を宜しくお願い申し上げます」(原文)と呼び掛けている。
全国的に廃線や廃駅が決まると、駅や鉄道備品の盗難事件が頻発している。鉄道マニアの収集目的やオークションでの転売目的などで窃盗罪での逮捕者も出ており、道内でもすでに廃線となったJR江差線木古内-江差間などでも駅備品などが盗まれている。
JRでは駅名標のさらなる盗難防止のため、留め具を外しにくくする対策や巡回を強化。池田署は「私服警官や夜間も含め立ち寄り警戒をしている」とする。
(関坂典生)