「新得地鶏のおいしさを」地域おこし協力隊員が居酒屋開店へ
【新得】町の地域おこし協力隊員として「新得地鶏」の生産加工を担ってきた岩本裕司さん(52)が、町本通北1の元食堂店舗を改修して、新得地鶏の料理をメーンにした居酒屋「新得地鶏本家 壱杯家(いっぱいや)」を4月1日に開店させる。協力隊の3年間で培った経験を生かし「地元の人に新得地鶏のおいしさを知ってもらいたい」と張り切っている。
岩本さんは深川市出身で、東京や札幌の居酒屋での店長や料理長を務めていた。新鮮な食材へのこだわりが高まっていた中、新得在住の知人から町が「地域おこし協力隊・新得地鶏普及推進員」を募集していることを紹介され、転身を決意。2013年に応募し、採用された。
2人の仲間とともに「十勝・新得フレッシュ地鶏事業協同組合」(武田直幸代表理事)に派遣され、新得地鶏の給餌や卵の管理、加工などに従事。岩本さんは主に食鳥加工場(町屈足)で鳥の解体や加工を担当してきた。
協力隊員に対する国の特別交付税措置の上限3年間が迫り、その後の身の振り方を考える中で、武田代表理事から新得地鶏の料理を提供する居酒屋経営の打診を受け、起業を決意した。
新得地鶏を扱っている全国的な居酒屋チェーンのAPカンパニー(東京)が現在14店舗を展開している「北海道シントク町塚田農場」のメニューも参考にしながら、「炭火焼き」(880円)、「溶岩焼き」(1280円)、「卵焼き」(480円)、「とり皮ポン酢」(280円)、「地鶏チャーハン」(780円)=いずれも税別=などをメーンに据え、その他、おつまみなどをそろえた。
町内の飲食店でも新得地鶏は扱われているが、それぞれ単品での提供で、新得地鶏をメーンとした店は初めて。開店に向けてサポートしてきた武田代表理事は「地元での地鶏専門店は念願だった。新得地鶏を知り尽くしている岩本さんだからこそおいしい料理を提供してくれる」と信頼を寄せる。
開店準備に追われる岩本さんは「新得地鶏は肉にうま味があり、歯応えもある。白子(しらこ)やさえずりなどの希少部位もメニューに加えていきたい」と話している。
営業時間は午後5時~午前0時(ラストオーダー午後11時半)。カウンターと小上がりで26席。2階は3室あり、最大30人までの宴会可。電話0156・67・7533。(大野篤志)