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三条高同期生、がんの手記集を自費出版

 帯広や札幌などに住む帯広三条高校1970年卒の同期生6人が、それぞれのがんの闘病体験をつづった手記を1冊にまとめ、「がんと言われて」と題して自費出版した。中心となった須永俊明さん(64)=札幌、会社役員=は「2人に1人がなるといわれる、がん。自分たちの体験が周囲の参考、そして啓発になれば」と話す。須永さんらは今後、同期生らに広く呼び掛け、第2弾の制作も計画している。

 6人は須永さんと、2009年に子宮頸(けい)がんと骨髄リンパ節転移を経験した伊藤(旧姓・杉山)清子さん(64)=帯広、伊藤宝飾=、大腸がんとなった河瀬(同・大亀)恵子さん(64)=札幌=と、卵巣がん経験者の奥山(同・平山)史子さん(64)=同=、食道・胃接合部がんとなった横川準二さん(64)=同=、妻が乳がんとなった吉沢由行さん(64)=大阪。三条在籍時はいずれも3年E組だった。

 須永さんは国鉄(現在のJR)勤務を経て、札幌の設計事務所で専務として働いていた2014年、悪性リンパ腫(ステージⅣ)の診断を受け、半年近く抗がん剤治療を受けた。手記を持ち寄っての冊子作りは昨年3月、主治医から「完全寛解(病状が落ち着き、臨床的に問題ない程度に治った状態)」とされた須永さんのために伊藤さんらが札幌で開いた「がん祝勝会」の席上、須永さん自身が提案した。

「私も闘病中、がんに関するさまざまな治療本や患者の手記を読みあさった。生還できた感動は忘れない。次はこの経験を人のために役立てたいと思った」(須永さん)という。

 出来上がった手記集は18センチ×13センチサイズで58ページ。この中で須永さんは、薬の名称なども含め自身の治療の過程を細かく明記。抗がん剤の副作用として脱毛やしびれの他、しゃっくりが出たことへの驚きや、闘病中最も心に響いたのが伊藤さんらの「治るとポジティブに考えて」のアドバイスだったことなどを書いた。伊藤さんは自ら告知を受けた際、「頭が真っ白になった」心情などを記した。

 伊藤さんは自身の闘病直後に、夫の隆亮さん(享年59)を膵臓(すいぞう)がんで亡くしており、「がんは本当に身近。(この本を通じて)もっと詳しく知ってほしい」と訴える。須永さんは「来年で65歳になる年代。同級生でももっと経験者がいるはず。今後、高校の同期を中心に呼び掛け、本格的な体験談の第2弾を制作したい」と話している。

 自費出版のため価格は1冊2500円。問い合わせは伊藤さん(0155・24・3629)へ。(佐藤いづみ)

関連写真

  • 手記集を手に「生かされた自分たちの経験が社会に役立てば」と話す須永さん(右)と伊藤さん

    手記集を手に「生かされた自分たちの経験が社会に役立てば」と話す須永さん(右)と伊藤さん

  • 三条高同期生ががんの手記集、自費出版 3

    三条高同期生ががんの手記集、自費出版 3

  • 三条高同期生ががんの手記集、自費出版 4

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