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十勝に感謝、日本にエール 女子W杯副審務めた手代木さん

女子サッカーW杯の審判のユニホームを手に笑みを浮かべる手代木直美さんと恩師の山崎裕彦さん(左から)

 日本対米国の決勝が6日(日本時間)に行われるサッカー・女子ワールドカップ(W杯)カナダ大会で、副審を2試合務めた清水町出身の女子国際審判員、手代木(てしろぎ、旧姓・牧野)直美さん(34)=札幌市在住=が帰国し、恩師の山崎裕彦さん(50)=帯広南商業高校サッカー部監督、元FIFA国際副審=にあいさつするため3日、母校の同校を訪れた。手代木さんは「十勝や北海道のサッカー関係者に育ててもらい、素晴らしい経験ができた。また世界の舞台に立てたら」と来年のリオ五輪に意欲を示す一方、連覇に王手をかけたなでしこジャパンに「団結力でぜひ優勝を」とエールを送った。

 手代木さんは清水小4年の時に競技を始め、当時十勝の高校で唯一女子チームがあった帯広南商業高で選手として活躍する傍ら、山崎さんの勧めで審判の道へ進んだ。

 今回念願の大舞台のピッチに初めて立ち、主審の千葉県出身の山岸佐知子さん(41)とともに、6月13日(日本時間)の米国対スウェーデン戦と18日(同)のフランス対メキシコ戦の2試合でジャッジした。

米国対スウェーデン戦を終えて記念撮影する手代木直美さん(左から2人目)。右隣は主審の山岸佐知子さん(手代木さん提供)

 米国とスウェーデンの一戦は、勝てば決勝トーナメント進出の米国(世界ランク2位)と、第1戦を引き分けて負けられないスウェーデン(同5位)の対戦。試合開始の48時間前に審判の割り当てが発表され、「いきなり世界トップレベルの試合で心配になった」が、米国やカナダの審判員に選手の特徴や戦術を聞き、イメージトレーニングを繰り返した。

 当日ピッチに入ると緊張は全くなかった。会場のウィニペグは米国国境から100キロも離れておらず、多くのサポーターが詰めかけた。大ブーイングと歓声が起きる中、「こんな体験はめったにできないと思うと楽しくなってきた」と強心臓ぶりを発揮した。

 ベンチコントロールも求められる側の副審として、判定の理由を尋ねる米国の監督にも適切に対処。両チーム無得点で、次第にプレーの激しさが増す中、オフサイドやファウルを冷静に見極めた。後半途中から体調不良となりながらも責任を果たそうとする主審を献身的にサポート。担当エリアのファウルの有無などを伝えた。結局イエローカード(警告)ゼロのクリーンな試合に。5月28日のカナダ到着以来、重ねてきたトレーニングも生きた。

 2級審判員だった10年ほど前から全国高校総体(インターハイ)道予選の試合で笛を吹いてきた。十勝の試合でも実戦を積んだ。「多くの先生に声を掛けられ励まされた。一般的に女性が男子の試合に関わるのは難しいが、山崎先生の存在が大きかった」と振り返る。W杯の審判員のユニホームをプレゼントされた山崎さんは「もうこれ以上言うことはない。本当にうれしかった。特に多くの若い人に夢を与えた」と教え子の奮闘に目を細めた。

 実際に目の前で見た米国選手の実力は高く、特にFWの選手層が厚いという。日本との実力差は「米国の6対4ぐらい」とするが、「なでしこはここまでの流れが良い。6日はサポーターとしてテレビの前で応援したい」と笑顔を見せた。
(北雅貴)

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