神田日勝の新発見風景画展示へ 鹿追
【鹿追】十勝を代表する画家神田日勝(1937~70年)が65年ごろに描いたとみられる風景画が新たに見つかり、神田日勝記念美術館(鹿追町東町3、菅訓章館長)で12日から公開される。日勝の風景作品としては珍しく山を背景にした農場と雪が描かれており、同館は「これまでに見つかっている作品とは趣が異なる」と貴重な発見と位置付けている。
この風景画は、サムホールサイズ(縦16・2センチ、横23センチ)のベニヤ板を使用し、大きな山並みを背景に赤いサイロのある農場と、雪に覆われながらも所々に土が顔をのぞかせている畑が描かれている。菅館長は「東大雪の山を連想させるが、日勝は写生ではなく頭の中でイメージしてスケッチを描くことが多いので、どの場所かを特定することは難しい」とする。
所蔵していたのは東京都小金井市の渡辺一弘さん(74)。筆記具メーカーに勤務していた65年ごろ、出張で帯広のありた文具画材店を訪れ、社長宅の居間に飾られていた日勝の作品に一目ぼれし、譲り受けた。渡辺さんは「日勝が絵の具の代金の代わりに譲ったものだという話を聞いた記憶がある」と振り返る。以来、「50年以上飽きることなく、身近に置いて飾っていたが、自分だけで鑑賞するにはもったいなく、多くの人に見てもらいたいと思った」と同館での展示を申し出た。
同館は、12日から2階の展示コーナーに日勝の風景画を展示する予定だっただけに、寄せられた作品を大歓迎。川岸真由子学芸員は「山麓の農場」と名付け、「日勝の風景画の中でも他に類のない構図で、館としては新発見」と話し、多くの人の鑑賞を呼び掛けている。
開館時間は午前10時~午後5時。観覧料は一般520円、高校生310円、小中学生210円。問い合わせは同館(0156・66・1555)へ。(大野篤志)