短期決戦に帯畜大生不安 16年卒就職活動3月解禁
大学生の就職活動のスケジュールが2016年春卒業の学生(現3年生)から変わり、現状(15年卒)よりも3~4カ月繰り下げとなる。今年3月に企業の広報活動が解禁となり、8月に選考活動が始まる。短期決戦が予想されるため、帯広畜産大学(長澤秀行学長)では対策講座を解禁直前まで開くなど対応。「海外留学した学生が就職活動に間に合う」などの利点もあるが、学生からは「限られた時間で自分に合う仕事が見つけられるか心配」など不安の声も聞かれる。
「サークル活動で強い精神力がつきました」「海外放浪の経験があり忍耐力があります」-。
緊張した様子で自らをアピールする学生。その様子を面接官役の学生がスマートフォンのカメラ機能を使って撮影する。今月上旬に帯広畜産大学で行われた面接対策講座には約50人の学生が参加し、就職情報会社の担当者から面接で好印象を与えるポイントを学んだ。担当者が「業界研究や面接練習など今できる対策をしっかりと」と伝えると、学生は真剣な表情でうなずいた。
就職活動の新ルールは勉強に集中できる期間の確保を狙いに、経団連が13年9月に発表した。同大では例年5~11月に行う対策講座を3月の解禁に合わせて昨年5~7月と同10月~今年2月と期間を分けて設定。全25回で外部講師を招いた業界研究や面接対策などを行っている。
さらに、これまで2年生が対象だった「基礎キャリア教育」(選択科目)を「キャリア教育Ⅰ」として昨年春入学の1年生から必修科目に。早いうちからの職業意識向上を狙いに、長澤学長や企業経営者が「働くこと」の意義や進路選択について講演した。昨年9月には教員が新ルールの説明や就活生への指導法を学ぶ研修会を開いた。
大学側が就職支援を工夫する一方で、企業側の採用姿勢にも影響が表れている。同大学務課によると、15年卒の学生に対する求人数は680件(昨年4~10月)で、「追加募集が多く昨年の2倍近い数値」という。採用期間短縮による競争激化を見込んだ企業側の人材確保の姿勢が見え、同課は「反動による求人減少の可能性もある」と懸念する。一方で、「3年生で海外留学した学生が帰国後に就職活動に参加できる」とメリットも挙げる。
3年生の小野寺祐太さん(22)は「事前に繰り下げが分かっていたのでインターンシップへの参加や業界研究で心構えはある」としながらも、「先輩の話が通用しない初めてのことなので、自分が希望する職業に就けるか心配」と話した。(高津祐也)
◆大学生の就活問題について
・就活繰り下げ 戸惑う学生と大学-十勝毎日新聞電子版(2013/11/27)