清水の佐々木、全日本スノーモービル選手権制覇 十勝初の快挙
【清水】スノーモービルの2014MFJ全日本選手権(日本モーターサイクルスポーツ協会主催、全5戦)最上級のスーパークラスで、佐々木雅規(28)=バイクショップENAGY-X経営、清水町御影=が悲願のシリーズ王者に輝いた。参戦7年目、昨年まで3季連続でシリーズ4位だったが、今季は加速で不利な旧型マシンながらも独自の足回りのセッティングに成功、後半に追い上げる粘りのテクニックも発揮して、全5戦の計10ヒート中、3位以上8回の安定した成績でトップに立った。トップカテゴリーでの日本王者は十勝勢で初。来季は「新型マシンでさらに腕を磨き、王座を」と宣言している。
(横田光俊)
佐々木は5歳でモトクロスとスノーモービルを始め、モトクロスでは道内の第一人者として国際A級1で全日本選手権に参戦(昨年はシリーズ23位)、スノーモービルでは国内トップ選手の1人として活躍している。
今季は旧型のスノーモービル(Ski-Doo MXZ600RS)を使用。ほかのトップ選手は駆動部分のトラックベルト(無限軌道)が長いロングトラックの新型マシンを使っているため、スタートではいずれのレースも出遅れた。
しかし夏シーズンはモトクロスで走り込み、「モトクロスのマシンと同様に走れるように、前後のサスペンションの設定に成功した」とギャップやコーナーで猛追撃、常に追い上げて上位に食い込み続けた。
第1戦(新潟・1月25、26日)では少雪で泥水をかぶりながらの激戦を2ヒートとも2位。第2戦(長野・2月1、2日)の第1ヒートは転倒してリタイア、第2ヒートは3台でトップ争いし、最終ラップにライバルが転倒して勝利。第3戦(後志管内真狩村・同8、9日)と第4戦(士別市・同15、16日)も堅実に2位1回、3位2回など上位完走を遂げた。
最終戦(上川管内美瑛町・3月1、2日)を前に、4年連続シリーズ王者を狙い今季5勝の佐野友介(オホーツク管内斜里町)にわずか2ポイント差の首位。勝負を懸けた同戦でも第1ヒートに2位(佐野はリタイア)、第2ヒートも3位と確実に走り抜いて、佐々木は佐野に計14ポイント差をつけ、計143ポイントで堂々のシリーズ初優勝を遂げた。
「最終戦はトップを取ってシリーズ優勝を飾りたかったが、最後のヒートは少々守りに入ってしまった。しかし(マシンの違いで)スピードでは絶対に前を抜かせない中でも追い上げができた」と、正月から毎週末に真狩村のコースで乗り込んで磨いたテクニックが王座を呼び込んだ。
ほかのトップ選手は専属のメカニック(整備担当者)がマシンを調整するが、佐々木はライダー兼メカニックとして各大会を転戦する。しかし、少雪で硬いアイスバーンのコースでも自ら調整した今季のサスペンションは「自分の走りたい走り方ができた」と自信を得た。来季は新型マシンを導入し、加速でも負けない万全の体制で「王座を守り抜く」と決意している。
今季の同クラスで十勝勢は林竜一(幕別町)もシリーズ4位、計良亮太(池田町)も同5位と活躍、B級S1で計良佳輝(池田町)が同12位だった。