V2白樺 歓喜 インターハイ アイスホッケー
【青森県八戸市・三沢市】第63回全国高校スケート・アイスホッケー選手権大会(インターハイ、全国高体連など主催)は24日、青森県八戸市のテクノルアイスパーク新井田などで最終日が行われた。アイスホッケー競技では、白樺学園が堅い守りで日光明峰(栃木)に3-1で競り勝ち、2年連続4回目の優勝を果たした。ロースコアの展開で苦しい時間帯もあったが、第1シードに恥じない戦いぶりで結果を残した。選手たちはリンクで校歌を高らかに披露、胴上げや記念撮影を楽しむなど、努力の末に勝ち取った喜びの余韻に浸った。(北雅貴、折原徹也)
激闘しのぎ たくましさ
試合時間も残りわずか。GKを下げて6人攻撃を仕掛ける日光明峰からパックを奪うと、最後は平野裕志朗主将(3年)が抜け出し、無人のゴールに丁寧に流し込み、勝負あり。苦しい試合を制した瞬間、選手たちは一斉にヘルメットとスティックを高く放り投げ、喜びを爆発させた。
苫小牧東に1点、清水に2点しか許さずに勝ち上がってきた日光明峰の手堅い戦いぶりに苦しんだ。「隙を見せず、自陣から一気に縦へのパスでカウンター。良いホッケーをしている」と、準決勝の清水戦を観戦した湊谷匡晃監督が警戒を強めていた通りの接戦となった。
アタッキングゾーンでキープできても、ゴール前では簡単に打てない。第2ピリオド(P)では同ゾーンに持ち込めない時間帯もあった。白樺学園もFWのフォアチェックや間合いをしっかりと詰める堅守でピンチを多くつくらず、しのぎ合う展開に。2-0から1点を返されてもチームは浮き足立たなかった。
苦しい試合でも選手は成長の跡を見せた。カウンターに注意を払い、自陣からはシンプルに球を出した。そこに「スタッフの戦術や意図を理解していない」と湊谷監督に叱られていた姿はなかった。
「弱い」と言われて結束力も強くなった。第3セットのDFとして出場した長原和志副主将(3年)は特に燃えていた。2回戦の前のウオームアップ中に川口竣耶(1年)が足首を骨折し、出番が回ってきたからだ。「川口のために。チームのために」と気迫のこもったプレーを見せた。
準決勝では武修館(釧路)に大苦戦の末に劇的な逆転勝利するなど激戦を乗り越えるたくましさを示した選手たち。平野主将は「水中歩行など厳しい練習メニューもあったが、心身のスタミナが付いたと思う」と胸を張った。
悩んだ1年「報われた」 平野主将
インターハイに優勝したときにだけ歌う閉会式後の校歌。仲間と輪になって声を張り上げているうちに、平野裕志朗主将の目から涙がこぼれた。「この1年間を思い出すと報われた気がして。泣くような性格ではないのですが…」と照れ笑いを浮かべた。
白樺学園の主将は監督が指名するのではなく、引退した3年生が練習態度や私生活、リーダーシップなどを話し合って監督に進言する。スタッフからは厳しい指摘を受け、時には仲間を叱る嫌われ役も担う。
この1年間は悩むことばかりだった。練習で全員が同じモチベーションを保ち続けるのは難しい。「スイッチの入っていない人をどうやって乗せていくか。基本的に怒るのは先生の役目なので、自分はいかにその気にさせるかを考えた」と話す。人里茂樹前主将(東洋大1年)に相談したことも。メールで「お前がくじけたらチームもそこで終わりだ。頑張れ」と励まされ胸が熱くなった。
時には湊谷監督に反発したくなったことも。「でも後で考えるとやっぱり先生の言っていることは間違いではないと気付く。自分たちのためを思ってくれている。本当は優しい人なんですよ」と笑う。
主将を示す「C」マークは初めて着けた。「キャプテンタイプではないと感じていた」と言うが、決勝戦のベンチで一人ひとりに「俺の目を見ろ。自信を持ってやれ」と声を掛けて鼓舞する姿は立派なリーダーだった。
卒業後は今大会の八戸のリンクを本拠地とするアジアリーグの東北フリーブレイズに入団する。「優勝できて縁起がいい」と白い歯をこぼす。夢に掲げる世界最高峰の米国のNHL入りに向けて一歩を踏み出す。
日光明峰下し全国連覇
1年生DFが 値千金2得点 坂井
○…「これまでの決勝戦で一番苦しかったかもしれない」と湊谷匡晃監督も難しいと考えた試合で、1年生の坂井優一が値千金の2ゴール。シュート力のあるDFは第1P中盤、ゴール近くで志賀祥樹(2年)のパスをレシーブ、相手GKの空いているコースを冷静に見て先制点を決めた。第3Pも自らのシュートリバウンドをたたいた。
この1年間でベンチプレスで100キロを上げるなどパワーが増した。坂井は「得点したときは心の中で大喜びしそうになったが、試合が終わったわけではないとすぐに冷静になれた」と精神面も頼もしい。
◇決勝
白樺学園 3(1-0 0-0 2-1)1 日光明峰(栃木)
▽得点者
【白】(1)古川→志賀→坂井(1P11分26秒)(2)古川→坂井(3P3分57秒)(3)桂川→平野(3P19分54秒)
【日】(1)乾(3P11分16秒)
▽反則
【白】3(平野、石田、桶屋)
【日】5(大塚2、渡辺大、渡邉亮、小野光)
▽シュート数
【白】38(18、10、10)
【日】17(2、9、6)
<3年生喜びの声>
FW(9)平野裕志朗
努力してきたことや支えてくれた仲間に感謝。高校ですごく成長できたと思う。
GK(34)代田朋也
第2GKとして(高橋)勇海の氷上以外の負担を減らそうと常に考えていた。
DF(15)長原和志
苦しい試合ばかりだっただけに喜びも大きい。後輩は3連覇を目指してほしい。
DF(31)袴田周
良い仲間と巡り合えた。チームのためにどんなことができるかをいつも探していた。
FW(11)瀬戸公大
プレーだけでなくチームに貢献しようとした。釧路から白樺学園に来て良かった。
FW(14)佐藤優
うれしくて涙が止まらない。決勝は一つひとつのプレーを全力でやった。
FW(16)打田航介
サポート役として、出場する選手が集中できるように動いた。
FW(25)桂川涼
ほっとしている。試合に集中し、持ち味のスピードを生かす動きができた。
FW(61)桶屋樹生
決勝は最後まで足が動いた。副主将してチームを引っ張ることを心掛けた。