442年ぶり、皆既月食中に惑星食 十勝でも観測
皆既食が終わった後、月に接近し隠れる「天王星食」(月の左下)が始まった。月に写った青色の帯状は「ターコイズフリンジ」と呼ばれるもので、成層圏に達した太陽光の中で波長の短い青色だけがオゾン層を通過し、青い光「ターコイズブルー」が月面に投影されて見える貴重な現象も見られた=8日午後8時48分、「銀河の森天文台」(りくべつ宇宙地球科学館)で。金野和彦撮影
【陸別】月が地球の影にすっぽりと隠れる皆既月食が8日夜、十勝管内の各地でも見られ、赤銅色の神秘的な月が夜空に浮かんだ。この日は月が天王星を隠す「天王星食」も発生。皆既月食と惑星食が同時に起こるのは1580年7月以来。442年ぶりの天体ショーを目に焼き付けようと、多くの人が初冬の夜空を見上げた。
りくべつ宇宙地球科学館・銀河の森天文台では観望会が開かれ、139人が来館した。午後6時8分の「食の始まり」に合わせ、来館者は2階の屋上広場に移動。満月の一部はすでに薄暗くなっており、時間通りに欠け始めた。同7時16分に皆既が始まり、月が赤く染まると歓声が起こった。皆既月食が終わった同8時45分ごろには、月が天王星を隠す天王星食が始まった。
望遠鏡では「ターコイズフリンジ」(太陽光が地球大気オゾン層を通過時に赤色が吸収され青色が残る)と呼ばれる現象も見られた。幕別町から親子で訪れた松村綾子さん(80)は「道中、きれいな満月を見ながら来た。どんどん欠けていく月はとても神秘的で感動した」と喜んでいた。
国立天文台によると、日本全国で見られる次回の皆既月食は2025年9月8日、皆既月食中に惑星食が起こるのは322年後の2344年7月26日の土星食。(津田久美通信員、澤村真理子)
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