灯油の定期配送 顧客囲い込み ポイントや特典でPR
冬の需要期を控え、全般的な物価高の影響で灯油価格も高値で推移し、十勝管内外の大手燃料会社を中心に展開する定期配送サービスに注目が集まっている。都度注文するスポット販売に比べ安値設定としていることなどが理由。企業側も安定した売り上げにつながることから、ポイントや特典などを設け、新規・既存の顧客にPRしている。
管内外の主要な燃料会社によると、現在の管内定期配送価格は1リットル当たり121円前後。昨年同月比24円高。スポット売りとの価格差は会社によって違うが、定期配送の方を安く設定しているのは共通だ。
定期配送は、顧客の利用料に応じタンクの灯油が尽きないように配送して補充する。ホームタンクのサイズや配送地域など条件はあるが、管内では帯広市と近隣の町を中心に複数社がサービスを展開する。
「効率が良くコスト削減」
複数の関係者によると、家庭用灯油販売全体の5~6割以上を占めるとされる。事前に配送時期やルートの予測を立てられやすいため、「効率が良く、配送コストや労力も削減できる」(燃料会社担当者)と、近年、営業に力を入れる。
灯油のプライスリーダー、エネコープ(札幌市)では、10月からの定期配送開始に合わせ、8~9月に申し込みがピークを迎えた。契約数の9割以上がスポット販売より5円安の定期配送。顧客増対策に力を入れており、新規では定期配送に切り替えると1万円分の会員カードポイントをもらえるキャンペーンを実施。利用3年目以上の顧客には、灯油代で付与する同ポイントを3倍にして囲い込みを図っている。
今シーズンの申込件数は現時点では例年より少なめ。渡邉美彦社長は「灯油価格が高いので様子見している客が多いのでは」と分析、各社価格が出そろったことを踏まえ、今後の契約増を期待する。
三洋興熱(帯広市)では今月に入り、定期配送の申し込みが増加。申込件数は例年並みとする。スポット配送と比べ、1リットル当たり4円安くなるほか、新規申込者はさらに3円安となる。スーパー・ダイイチのポイント付与や、ロードヒーティング敷設家庭への割り引きプランなども用意。伊藤康典常務は「原油価格の高騰を受け、灯油も高くなっているので、定期配送による割り引きや付与されるポイントで少しでもお得に利用してほしい」と話す。
管内では、電気やガスなど他のエネルギーと組み合わせて特典を付与する会社や洗剤やボックスティッシュをプレゼントする会社などもあり、安定した収益につながる定期配送を促進する動きが見られた。業界関係者は「エアコンの普及などで灯油の使用量は今後減っていく。販売量が減る分、コストや労力を削減し利益を十分に確保しなければ安定供給を続けられない。コスト削減につながる定期配送の重要性は高まる」と話している。(吉原慧)
- カテゴリ経済
- タグ勝毎ビジネス経済動向