十勝に大雪 交通まひ 帯広60センチ 新得66センチ
急速に発達した低気圧が北海道東にある影響で、十勝地方は16日午後から17日にかけて大雪に見舞われた。17日はJR特急で始発から22本が運休、とかち帯広空港の東京線3便が欠航した。各地で交通がまひし、ほとんどの学校が休校になった。18日にかけても風の強い状況が続く見込みで、引き続き交通障害や雪崩、屋根からの落雪などに注意が必要。
17日午前8時までの各地の24時間降雪量は、ぬかびら源泉郷と帯広空港で68センチ、新得66センチ、上士幌65センチなど。帯広でも60センチを記録した。積雪は新得が69センチ、上士幌が63センチとなり、12月の1位の値を更新した。16日夕方から管内全域に出されていた大雪警報は、17日朝に解除された。沿岸には引き続き暴風・波浪警報が出ている。
十勝総合振興局は17日午前9時半、災害対策十勝地方連絡本部を設置し、情報収集に当たっている。同局によると、国道274号の日勝峠が吹雪のため16日夜から通行止めとなっている。国道273号の三国峠も雪崩のため通行止め。その他に幕別大樹線(15号)など道道8路線で通行止めが続いている。道東自動車道も占冠-十勝清水間などで一時通行止めとなった。
公共交通機関にも乱れが生じた。JRは特急スーパーとかち・おおぞらがいずれも、17日の始発から6号までの計12本が運休。根室線は釧路-富良野間で同日午後1時頃までの快速・普通合わせて36本が運休となった。空の便も同日朝のJAL1151、1152便とエア・ドゥ61便が運休。
大雪と風で倒木が電線に接触した影響で、各地で停電も発生した。北海道電力帯広支店によると、17日午前0時以降、本別町で357戸、音更町駒場で46戸、浦幌町活平で19戸、幕別町忠類12戸、同町本町・幸町86戸、豊頃町統内62戸、広尾町豊似146戸、帯広市大正町で2戸が停電したが、市大正町を除いて正午までに復旧した。
十勝教育局などによると、管内の小・中学校は148校中134校、その他に高校20校、養護学校など3校も休校となった。
ドカ雪車立ち往生 市民生活、仕事に大影響
十勝管内は17日朝、一面膝上まで埋まるほどの雪に覆われた。住民は早朝から雪かきに追われ、除雪が間に合わない道路では多くの車が立ち往生。幹線道路も雪で道幅が狭くなり、大渋滞が発生した。
12月としては観測史上1位の69センチの積雪となった新得町。JR新得駅前の民家では午前6時すぎ、この家に住む玉川玲子さん(82)が1人で除雪作業をしていた。「ここで菓子店を営んでいた頃は店の前を除雪し、2階の窓に積もった雪も下ろしていたけれど、今は玄関先だけ」と話し、降り積もった雪と格闘していた。
重機も埋まる
帯広市内も同日午前8時までに60センチの積雪に。市は16日午後9時から除雪車全259台を出動させて除雪に当たったが、作業が済んだ先から雪が降り積もる状況。17日朝の段階でも多くの市道が手付かずで、通勤の車の足止めとなった。
東2南10の中通りでは午前9時50分ごろ、1台の乗用車が雪で動けなくなっていた。地域住民5、6人が車体を押してもびくともせず、助けに駆け付けた重機も埋まる始末。最後は他の乗用車がロープでけん引して救出した。30分間にわたる奮闘劇に拍手が起こり、運転していた市内の会社員栗村英子さん(60)は「協力してくれた人に感謝。もう大きな道路しか通らない」と気を引き締めていた。
苦情300件
市道路維持課には午前10時ごろまでに市民から「除雪が入っていない」「車が走れない」など200~300件の苦情の電話が入ったといい、同課では「除雪が間に合わず、市民に迷惑をかけて申し訳ない。限られた人員での除雪だが、なるべく早く対応できるように努めたい」としている。
市は17日昼までに1回目の除雪を終え、2回目を生活道路では同日午後から、交通量の多い幹線道路では午後8時から行う予定。
帯広市内の国道でも16日午後7時半すぎから、今シーズン初めて除雪車が出動した。
国道も帯広開発建設部帯広道路事務所から国道38号を芽室方向に向かって除雪グレーダーなど5台が対応。受注業者の宮田帯東(帯広)の担当者は「夜からずっと除雪を続けている。朝になって一般の車が走っている中での除雪は大変だ」と話していた。