夜泣きで眠れないママに寄り添う居場所を― 芽室におしゃべり空間「おやこのこや」
 【芽室】赤ちゃんの夜泣きで眠れないお母さんが安心できる居場所をつくりたい-。芽室町の「合同会社日々の」代表、野澤まどかさん(28)が、10月から女性限定の夜間開放スペース「おやこのこや」を始めた。野澤さんは「この場所が開いているだけで救われる人がいる」と話し、孤独を抱える母親や女性たちの「よりどころ」として夜の一角に明かりをともす。(近藤周)
 おやこのこやは、毎週日曜日の午後9時から翌朝午前6時に、女性を対象に開放する夜間スペース。8月に野澤さんが開業したフレンチトースト専門店(町東1ノ2)の店舗を活用している。明るい店内に机と椅子を並べて利用者同士がおしゃべりできる空間とし、無料の飲み物を提供する。赤ちゃんを寝かせることができるマットスペースや授乳室もある。
孤独で不安に
 野澤さんは「この空間は、今、私が子育て中の当事者だからこそつくることができる場所」と力を込める。現在、3歳と0歳の娘2人を育てる母親。長女は1歳になるまで、特に夜泣きがひどかったという。家族が就寝し、暗く静まりかえる深夜の部屋で、泣き続ける長女と自分だけの時間が永遠と続く感覚に「頭がおかしくなりそうだった」。かわいいはずの長女を前に暗い気持ちになる自分を「何で?」と責めた日もあった。
 そんな時、野澤さんがSNSで出合ったのが、漫画家「かねもと」さんの作品「よなきごや」。夜泣きする赤ちゃんを抱えた母親たちが集まる「よなきごや」が題材で、2児を育てる作者自身が理想としてきた架空の居場所を描いたフィクション作品だった。
 「こんな場所があったらいいのに」。そう思うと同時に、「同じ立場のママがいると思うだけで頑張れる自分がいた」。夜泣きの子どもと向き合う時間は「孤独で不安」だ。そんな母親たちが「何かあったら、あそこに行けばいい」と思える居場所を自分の住む町につくりたいと、野澤さんは今回のプロジェクトに乗り出した。
 9月から1カ月間、店舗の防犯設備設置などを目的に、クラウドファンディングを実施した。すると、町内を中心に全国の母親たちの賛同の声があふれた。
作者から応援も
 かねもとさんからは「(夜泣きの子どもと向き合っていた)当時の自分が救われたよう」と応援メッセージが届き、飲み物の寄付もあった。協力したいと6人の運営メンバーも集まった。
 野澤さんは、活動を通して母親以外にもさまざまな孤独を抱える女性は多くいることを実感。「子育て中のママだけでなく、これから子育てを始める人、子育てを終えた人、どんな立場の女性も安心できる居場所にしたい」と話している。
 施設開放の情報は、インスタグラムで発信している。次回の開放日は11月2日。
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