谷保製菓90周年 地域と共に伸びる協業精神~先読み新年号
谷保祐司(たにほ・ゆうじ)社長(51)
同業者らが次々とのれんを下ろす時代に、「おかしのたにぽん」でおなじみの「谷保製菓」は新風を取り入れ、笑顔とワクワクをもたらす駄菓子文化に火をともし続けています。
1935(昭和10)年、石川県から移住した谷保茂次氏が菓子製造の事業を興し、会社設立と同時に卸売業を始めました。息子の茂平氏、茂一氏に受け継がれ、初代のひ孫に当たる谷保祐司社長(51)が大手菓子問屋を経て家業の道へ。「小学生の頃から会社を継ぐ意志はありました。事業は父に託されましたが、取引先やお客様のお引き立て、従業員の努力があればこそ。地域の皆さまに育ててもらった会社です」。
売り上げの大部分を占める大手スーパーとの取引が途絶え、存続の危機に直面したこともあります。経営を立て直した後、複数の自動販売機を設置した「ドリンクランド」、「おかしのたにぽん」など卸売業の強みを打ち出した新事業に乗り出します。
「直営店は小売店との競合になるのでためらいはありましたが、皆さんが快く取引を継続してくれました。創業理念『お得意様と共に伸びる』の意味を改めて実感しました」。
「たにぽん」は、2014年に本社のある帯広に1号店を出店。社員の目が届くよう支店のある地域を中心に選定し、現在は釧路や旭川にも進出しています。
税込み5円から商品が並ぶ店内は昭和の駄菓子屋そのもの。子どもが買い物を通じて社会の仕組みを学べるように設置した電卓は、楽しいひとときを過ごすことに一役買っています。
谷保製菓90周年 地域と共に伸びる協業精神~先読み新年号
■沿革■
1935年 初代・谷保茂次が帯広市西2南3で製造業開始
53年 谷保製菓を設立、卸売業を開始
79年 本社を帯広工業団地に新築移転(現在地)
90年 谷保茂一現会長が代表取締役社長に就任
2002年 ドリンクランド1号店を根室地区に開設
14年 お菓子のたにぽん1号店を帯広に開設
16年 谷保祐司が代表取締役社長に就任
23年 オンラインショップを開始
■概要■
本社 帯広市西24条北1ノ2ノ2
資本金 2000万円
従業員 60人
年商 8億4000万円(2024年5月期)