十勝勤労者医療協会40周年 病院を核とした「町創り」へ~先読み新年号
瀬川高志(せがわ・たかし)理事長(61)
「無料・低額診療を行っています。医療費でお困りの方はご相談下さい」。十勝勤労者医療協会(勤医協)が運営する「十勝勤医協帯広病院」の横断幕にはこう書かれています。これは市の助成事業を指しますが、同病院など1800超の医療機関からなる全日本民医連(民医連)の綱領「無差別・平等の医療」にも通ずる理念です。
同病院の内科医でもある瀬川高志理事長(61)は「人は誰しも健康に生きる権利がある。だから医療にはどんな差別もあってはならない」と綱領の意義を強調します。
戦後に各地で産声を上げ、1949年から道内にも広まった民医連の医療機関。85年の十勝勤医協設立は、初代・小倉浩夫理事長の尽力が大きいと言います。「札幌の勤務医だった小倉先生が寸暇を惜しみ設立の必要性を説き、友の会を結成。2億5600万円の資金が寄せられました」。
翌86年、前身の「帯広医院」を開院。「勤医協は十勝の皆さんのたまもの。『誰もが安心してかかれる良い病院』として恩返していきます」(瀬川理事長)。
コロナ禍を機に在宅医療や介護分野にも注力。訪問診療を通じて患者と家族の日常に触れ、より良い治療に役立てています。一方、「医師の地域偏在は深刻な問題ですが、“カムバックサーモンの精神”で人材確保に努めます」と、経営課題の克服にも注力。超高齢社会を迎える2040年問題を見据え「病院・老健を中心としたまちづくり」を掲げるなど、さらなる挑戦を続けています。
十勝勤労者医療協会40周年 病院を核とした「町創り」へ~先読み新年号
■沿革■
1985年 十勝勤労者医療協会を設立
86年 帯広医院を開設
89年 十勝勤医協帯広病院として診療開始
95年 音更町に柳町医院を開院(現在は閉院)
98年 老人保健施設ケアセンター白樺、帯広歯科医院を開設
2000年 居宅支援事業所白樺を開設
02年 十勝勤医協白樺医院を開院
18年 サービス付き高齢者住宅ほのぼの開設
■概要■
本部 帯広市西9南11ノ1
従業員 209人
施設数 8ヶ所