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衛星活用 十勝で起業 スペースアグリ・瀬下隆さん

脱サラして帯広に会社を立ち上げ宇宙と農業をつなぐサービスを始めた瀬下社長

宇宙先端企業から転身  
農業用画像を配信
 農作物の衛星画像などを配信する「スペースアグリ」(帯広市)が、十勝とオホーツク地方で生育マップや施肥マップ提供のサービスを行っている。生育状況の把握や効果的な施肥につながるデータ。東京の大手企業で宇宙開発や農業情報サービスに携わった瀬下(せしも)隆さん(55)が脱サラで事業を展開する。宇宙からの情報を十勝農業に生かす試みとして注目されている。

 同社の事業は、地球を100機以上の人工衛星で観測する米国の宇宙ベンチャーからデータを購入し、利用者に毎日、生育マップとして提供する。晴れれば毎日可能で、撮影した翌日に分解能3メートルの画像を見ることができ、作物の生育状態や異常が早期に分かる。

 また、衛星画像を解析して植生指標データを作り、施肥マップとして希望者に提供。自動で可変施肥できる機械や自動操舵(そうだ)トラクターと組み合わせることで、生育に合わせて効果的に肥料を与えられる。マップには4月から11月までアクセスでき、料金は年額制で1ヘクタール当たり2000円程度を予定。今年は試験期間で無料にしている。

 瀬下さんは東京都出身、東大卒。重工業大手のIHIで純国産ロケット「H2A」のエンジン開発などに参画し、文部科学省に出向して宇宙行政にもかかわった。2011年からは、人工衛星によるリモートセンシング(遠隔測定)の活用を担当。農作物を生育管理するシステムの開発を十勝で進めた。

 しかし、IHIは16年、開発途中で事業化を事実上断念。「ハイリスク、ローリターンの部分があり大手では参入できなかった」という瀬下社長だが、事業の将来性を感じていて独立を決意。農業分野のIoT(モノのインターネット)化やスマート化などが進んでいて、「いろいろと面白い動きが出てくる中で十勝で挑戦したかった」と理由を語る。

 3月に退社し、自宅のある埼玉を離れて帯広市内に拠点を移した。現在は十勝や北見などの個人農家などがサービスを利用している。瀬下社長は「生育の変化のデータを日々見ながら行う営農が、一つのインフラとして定着すればいい。多くの人に見てもらいたい」と話している。問い合わせは瀬下社長(070・4293・7773)へ。(安田義教)

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