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共助の在り方学ぶ 鹿追で台風災害教訓のシンポジウム

広い視野で共助のあり方を紹介する(左から)高山氏と國森氏、座長の古屋氏

 【鹿追】昨年の台風10号災害を教訓にしたシンポジウム「災害からの学びを平時の備えにつなげる」(NPO法人かしわのもり=鹿追=主催)が29日、町民ホールで開かれた。管内各地から120人が参加し、専門家の講演を通して共助の在り方を再確認した。

 山梨市立牧丘病院長の古屋聡氏が座長を務め、沖縄県立中部病院感染内科医師の高山義浩氏、東日本大震災被災地など全国各地を舞台にした写真絵本シリーズ「いのちをつなぐ『みとりびと』」を出版した元神戸新聞社記者のフォトジャーナリスト國森康弘氏を講師に招いた。事業はNPO法人に寄せられた災害支援金を活用した。

 高山氏はかつて、厚生労働省で政府の新型インフルエンザ対策に取り組んだ。患者からの感染で減少する医療従事者とは反比例して患者数は増加、社会機能そのものがダウンするリスクがあるパンデミック(新型感染症の世界的大流行)について「地震や水害と同様の自然災害だ」と強調。住民と同様に被災する医療・行政機関に依存したシステムの危険性を説き、地域で支え合いのネットワークを作りながら最低限の機能を維持させる「事業継続計画(BCP)」の必要性を訴えた。

 公的サービス機能を維持させるための方策として、具体的に職員の子どもたちを家庭保育する住民グループの設立などを提案。「住民の理解と協力なしにはありえない。想定外の事態にも強い柔軟なカルチャーを醸成するべき」とした。

 國森氏は、在宅死が5割を超える年もあるという滋賀県東近江市永源寺地域の地域包括ケアや在宅医療を紹介した。小学校での出前授業から少年野球の指導者、消防団員、PTA会長まであらゆる分野で活躍する医師を例に「いろんな専門性を持った地域の人が連携し、一つの地域作りをしている。誰もが住み慣れた場で安心して暮らせる」と話した。(小寺泰介)

関連写真

  • スライド写真を交え、住み慣れた場所で安心して暮らす地域づくりを紹介した國森氏

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  • 医療や行政機関に依存したシステムの危険性を訴えた高山氏

    医療や行政機関に依存したシステムの危険性を訴えた高山氏

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