熊本からシャワー2基 清水赤十字病院に届く
4月、職員災害派遣の返礼
【清水】台風10号の大雨被害で断水が続く町内で、地元医療を支える清水赤十字病院(藤城貴教院長)に、4月の熊本地震で被災した熊本市の熊本赤十字病院から簡易シャワー2基が届いた。同地震時に職員を派遣した“恩返し”の意味も込めた支援で、11日に清水の病院玄関横に設置された。公衆浴場に行けない高齢者らを中心に、12日午後から利用できる。
清水赤十字は熊本地震発生直後に、看護師や事務員など赤十字では最多の12人を現地派遣。被害が大きかった熊本県益城町内の避難所で避難者の心のケアなどに当たった。
このときの縁に加え、熊本赤十字には災害発生時に迅速な医療活動を行うための「ERU(Emergency Response Unit)」と呼ばれる医療機器や給水設備、簡易トイレやシャワーなどの緊急対応ユニットが整備されている。今回は、過去にERUを使用し、海外で国際救援チームの一員として復興活動に携わった経験を持つ藤城院長が熊本赤十字に要請し、快諾を受けた。
また、自衛隊による水の供給も安定し、シャワーに使える水の確保もできるようになった。
熊本赤十字からは、海外の国際救援活動で藤城院長とチームを組んだ臨床工学技士の黒田彰紀さん(40)と、総務の林田優作さん(34)が来町。熊本地震の他、東日本大震災のときも活躍したシャワーを、11日午前に組み立てた。
シャワーの排水を入念にチェックした林田さんは「熊本地震の際に助けていただいた恩返しとして、少しは役に立ちたい」とし、黒田さんも「同じ赤十字の一員として、困っている地元の方を助けたい」と話した。
町内では依然多くの世帯が生活用水も断水中。清水赤十字によると、台風被害の後、一度も入浴できていない患者もいるという。シャワーの利用は高齢者や施設の入所者らが主な対象で、温泉や公衆浴場に自由に行くことができない人を優先する。
藤城院長は「熊本からの支援は心強い。上下水道が再開するまでの間、町民に気持ちよく使ってもらえれば」と話している。(川野遼介)