新たな伝統を、「時代」合唱へ 帯広柏葉高校3年生
帯広柏葉高校(堺俊光校長)の3年生276人が、来年3月1日の同校卒業式で、同校出身の歌手中島みゆきさんの代表曲「時代」を全員で合唱する。生徒有志による実行委員会を結成し、合唱曲にアレンジや3パートごとの練習をスタート。6月の同校球技大会で「時代祭(まつり)」と題したクラス対抗の合唱コンクールを開き、士気を高める。部活動や受験勉強などで練習時間が限られるが、生徒たちは「時代」を超えた名曲を歌い継ぎ、柏葉の新たな伝統に-と張り切っている。
「来年3月の卒業式で『時代』を歌わないか」-。「『時代』プロジェクト」と題したこの企画は、昨年12月の2学期終業式後の2年生集会の席上、突如持ち上がった。現3年生の学年主任で中島みゆきさんの“研究者”である田口耕平教諭(54)が、生徒に語り掛けた。生徒から賛同の拍手が湧き、昨年開校90周年を迎えた十勝の伝統校の新たな試みが始まった。
3月、クラスを超えた3年生の有志18人が実行委員会(桒田=くわた=敦基委員長)を結成し、本格的にスタート。委員の1人、香田拓海君が2週間ほどで合唱用に編曲。「練習段階でも歌いやすい上、進行などを工夫」(香田君)し、女子はソプラノ、アルト、男子はテノールの混声3部合唱に仕上げた。杉村采(あや)子さんがピアノ伴奏を担当して収録、柏葉生によるオリジナル版が完成した。
1975年発表の「時代」は多くの歌手がカバーし歌われ続けているが、平成世代の生徒の中には、「初めて聴いた」という生徒も。田口教諭は「『地上の星』が代表曲の年代なので、彼女のイメージは『強い、怖い』のよう」と苦笑いする。だが、桒田委員長は「歌詞にも共感でき、本当にいい曲」と語り、普遍的な歌詞とメロディーが生徒の心に浸透している。
悩みは練習時間の確保。各クラスには朝や昼休みの学活時間での練習を呼び掛け、4月28日からは全クラスがパートごとに集まる練習を始めたが、集まる機会、時間が限られる。そこで、結束力を高めようと、「時代祭」を企画した。開会式でA~Gの7クラスごとに全校生徒を前に歌う。今後、受験が追い込みとなり、3年生が全員で歌う機会は卒業式までないと思われ、“ぶっつけ本番”に備える場とする。
「時代」は来年で発表から40年を迎えるが、「多くの人を励まし続ける、先輩が残した誇れる歌。高校生活の集大成とし、これからの人生で母校を思い出してほしい」と田口教諭。中島さんにこのプロジェクトを知らせることも考えている。桒田委員長は「思い出の残る卒業式になるよう、いいものにしたい」と力を込める。「歌」を通じて母校の絆を深めるプロジェクトが、伝統校の歴史に新たな1ページを刻む。
(原山知寿子)
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