強烈な雨「小石のよう」 海からの風雨雲発達 豊頃・大樹
十勝地方は9日午前、気圧の谷の影響で各地で大雨となった。特に豊頃や大樹などでは局地的に集中豪雨に見舞われた。
帯広測候所によると、大樹東部付近の海岸沿いでは午前9時半までの1時間のレーダー解析雨量が約110ミリに達した。数年に一度の雨量とされ、管内のアメダスの記録と比較すると、1959年に広尾で観測した1位の記録(70・3ミリ)を大幅に上回った。
大樹町生花地区の住民によると、「午前6時から1時間ほど強烈な雨が降った。屋根をたたく音は小石がずっと当たっているようだった」という。
大樹郵便局の尾上雄一郎さん(31)は、国道336号から晩成温泉に向かう町道ホロカヤントー線を走っていて豪雨に見舞われた。「過去に経験したことがない雨。大樹市街地は雨が降っていなかったため雨具を持たずに出た。車から降りた瞬間に全身がずぶぬれになった」と振り返った。
豊頃町湧洞で道道が通行止めになり一時孤立した釣り人たちは、午後0時40分ごろから開放された。帯広市内の無職男性は「雨がひどいから帰ろうと思ったが帰れなくなった。けががなくて良かった」とほっとした様子だった。
帯広測候所の山中智予報官によると、十勝地方は上空に冷たい空気が入っていたところに海から温かく湿った空気が入り雨雲が発生し、台風14号からの湿った風も合流。さらに9日は海からの風と内陸からの風が豊頃付近でぶつかり、雨雲が発達しやすい特別な状況で、一時的に狭い範囲に記録的な雨を降らせたという。
「十勝でも短時間の局所的な集中豪雨が増えている。温暖化などが影響しており、気候が徐々に変わっているのは間違いない。十勝は今までは災害はなかったが、異常気象も含めた対応が必要だ」と話す。