「上士幌町から~田舎暮らしを考えるフォーラム」、講演要旨を紹介 上士幌
14日に帯広市内のとかちプラザで開かれた「上士幌町から~田舎暮らしを考えるフォーラムin帯広」(町、町交流と居住を促進する会主催、十勝毎日新聞社共催)。竹中貢上士幌町長、チャイルド・ボディ・セラピストの蛯原英里さん、上級ファイナンシャルプランナー(FP)の小林信之さん、東京出身で現在は町内で夫と「ゴーシュ羊牧場」を経営する草野愛子さんの4人がパネリストを務め、上士幌町の子育て支援をテーマに語り合った。十勝毎日新聞編集局政経部の小林祐己副部長がモデレーターを務めた。保育・教育、学力と体力向上、医療、住環境について考えたパネルディスカッションの要旨を紹介する。(文・川野遼介、写真・山下僚)
竹中町長 400万円で住宅建設可能
蛯原さん 保育料の無料化心強い
小林さん 医療費軽減で生活豊か
草野さん 高校まで一貫教育期待
-就学前の保育・教育は充実しているか
竹中 若い世代が田舎に住まないのは、子育てや教育の環境が原因の一つだと思っている。保育料の無料化に加え、3歳から外国人を交えた教育を行う。こうした取り組みで経済的な負担を軽減するとともに、子育ての質の向上を目指している。
蛯原 保育料の無料化はすごく心強い。学力のことを考えて都会に出る人もいるが、教育の充実度が都会とは変わらず魅力的。
草野 3歳と6歳の息子がいるが、保健師さんにお世話になりっぱなし。地域の人の温かさを感じている。
-学力・体力の向上を目指す教育をどう考える
竹中 4月から地域や家庭と連携し、学校を中心とした「コミュニティ・スクール」事業を行い、幼児期から高校生まで一貫した教育、子育てを進めていく。学力、体力に加え体験の面で道内トップレベルを目指す。
小林 養育費は22歳までに平均1600万円掛かる。保育料や医療費が掛からないと考えると、浮いた資金を他に回せるので選択肢が広がる。
草野 子どもが来年小学1年生になる。保育所など面倒見がとてもいい。幼児期から高校生までの一貫した教育は都会の名門校と一緒で期待している。
-医療・保健・福祉支援関係の政策は
竹中 病気になったときの第2次、第3次医療を受診できる仕組みをつくっていくことが大事。町では病気にならないまちづくりの突破口として乳がん検診受診100%キャンペーンを行っている。
小林 医療費は19歳までに約260万円掛かる。その分が補助されると伸び伸びと生活でき、いざというときの保険としては心強い。
草野 上士幌クリニックと診療所のどちらもとても人間的で温かい。他の病院への連絡など、きめ細かなサービスがあるという印象を持っている。
-子育て世代が安心できる住環境をどう考える
小林 医療と同じで住宅も定期点検が必要。リフォームの補助なども行っているので、住んでから活用するのもいいと思う。
竹中 移住定住の課題は「住むところがない」のが地方の現状。町としては400万円あれば住宅が建設できるさまざまな支援策がある。家を建てる人の出生率は平均して2・2ほどなので、子どもを増やすには有効だと思う。
草野 多くの人にとって家を建てることは人生において満足感が向上すると思う。それが町への満足感にもつながると思う。
-ふるさと納税の受け止め方は
竹中 2014年3月にふるさと納税を子育て政策に生かす夢基金を設立した。子どもたちは上士幌の財産であり、日本全体の財産でもあるとすれば、そこにお金を使わせていただくのは寄付者の方にも理解してもらっていると思う。
蛯原 ふるさと納税は気になっていたけどこれまでできていなかった。十勝ナイタイ和牛やミルクジャムも試食したがおいしい。これからは積極的にしていきたいと改めて思った。
◆上士幌町から~田舎暮らしを考えるフォーラムin帯広
・上士幌の生活「魅力的」帯広で「田舎暮らしフォーラム」-十勝毎日新聞電子版(2016/02/14)