持続可能な農業の実現を
2019年の十勝は、気温、日照時間ともに平年を上回り、大きな災害もなく比較的安定した年となりました。管内24JAの農畜産物取扱高は、史上最高となる3549億円となり、管内JAが目標としていた3500億円に2年早く到達しました。異常気象や災害に見舞われながらも着実に生産力、ブランド力を高めてきた結果で、関係各位のご尽力に敬意を表します。国際情勢を振り返りますと、2020年1月1日には日米貿易協定が発効しました。関税の撤廃・削減で海外の安い農畜産物が流入し、競合する十勝産品の価格下落につながると懸念されています。生産額の減少は北海道全体で最大約371億円、帯広市で最大約6億7800万円と試算され、今後もその影響を注視していく必要があります。それと同時に、新たな生産手法、研究成果を取り入れ、持続可能でより力強い十勝農業を実現しなくてはなりません。
新型コロナウイルスによる感染症のまん延により、20年度は先の見えない不安の幕開けとなりました。外国人技能実習生の入国が難しくなり、技術移転や営農に支障を来しているほか、外食の減少や学校給食の停止により、加工用・業務用の農畜産物の需要にも影響が出ています。例年、本冊子に掲載している専門家による座談会も、状況が見通せないことから中止とし、識者2氏に2019年の営農を振り返っていただきました。
当フォーラムは十勝農業の発展に向けて1993年から道内の研究機関の研究成果と、十勝毎日新聞に掲載された農業関連記事をまとめた「農業新技術・十勝農業情報ハイライト」を編集し、各JAを通じ、組合員の皆さまへ無料配布しています。
28年目の刊行となる2020年版は、道立十勝農業試験場、道立畜産試験場のご協力をいただき、27件の研究成果を収めました。昨年に引き続き帯広畜産大学の研究成果も掲載しております。
最後になりましたが、製作にご協力をいただいた道立農業試験場、帯広畜産大学などの関係機関、冊子の配布を引き受けていただいた管内各JAの皆さまに心からお礼を申し上げ、刊行のあいさつとします。
十勝農業フォーラム
代表 林 光繁