農業通訳の阿部さん 小口輸出で北海道・十勝の食品を北米に
十勝を拠点にフリーランスの農業通訳として活動する阿部侑太さん(42)=帯広市在住=は、米国カリフォルニア州の知人と連携し、北海道・十勝産食材・食品の小口輸出に取り組んでいる。富裕層向けにコメ、しょうゆ、コンブの加工品などを販売、口コミで評判が広がった。「北海道・十勝産の評判はすこぶる良い」と言い、取扱品目を広げることにしている。(能勢雄太郎)
留学時の友人に勧められて開始
阿部さんは芽室町出身。帯広三条高校を卒業し、米国カリフォルニア州の2年生大学(コミュニティカレッジ)に留学。帰国後は帯広の英会話学校、芽室の農機輸入会社を経て、2017年に農業分野専門の通訳として独立した。
食材の小口輸出(航空便)を始めたのは3年前。米留学時、学校の陸上競技のコーチだったシャノン・マースさん(48)が来帯、旧交を温める中で食べた十勝の料理に感激し、「北海道の食材は米国でも売れる」と勧めたのが契機となった。
マースさんは日本の「わさび」に魅了され、現在はカリフォルニアでワサビ栽培を実践。3年前は長野県の農家にワサビ栽培のコツを学ぶため来日し、この時の様子は民放テレビ局のバラエティー番組で紹介された。
これまでに輸出したのは、道産のコメ、帯広産のブドウジュース、士幌産のしょうゆ、広尾産コンブの粉末加工食品。サンフランシスコのすし店などにネットワークを持つマースさんを経由し、家庭などに届けたところ反応は良く、「米国でも北海道には“おいしい”というイメージがある」と確信した。
北米では今後、日本食レストランの市場が9兆円に膨らむとの予測も。阿部さんはあくまでも個人にターゲットを絞り、小ロットでのビジネス展開を想定、マースさんと関係の深いサンフランシスコの道産食品店にも供給する方向で調整している。
阿部さんは「豚丼のたれもアメリカ人には受けるんじゃないかな。十勝の生産者、食品加工業者とつながり、小さいなりに十勝産を世界に発信したい」と話している。問い合わせは阿部さんのホームページから。