高校時代の友人と再び交わる~人の気配
僕は帯広柏葉高校の卒業生である。少し目をつぶって思い出すだけでも、弁護士や薬剤師、歯医者、キャビンアテンダントなど、その世界の第一線で活躍している友人の顔が浮かんでくる。
僕が暮らす東京、さらには音楽業界という近いところにも柏葉の卒業生はいる。1学年下で、当時からの友人である金野志保さん。長く音楽事務所でミュージシャンのマネジャーを担当した後、現在は某レコード会社で活躍している彼女もその一人だ。
厳密に言うと異なる、事務所とレコード会社の業務内容。近年はその境目がより曖昧になってきていると感じる。どちらかの仕事だけを理解するのでは、対応できないことも増えたはずだ。その点で、どちらの経験もある金野さんは、会社からも担当ミュージシャンからも信頼されていることだろう。また、多種多様な音楽業界で、自分が本当にやりたいことを見つけるためにも、周囲に気を配り、時には手を差し伸べることが大切である。金野さんの立ち振る舞いから、ある時期にそんなことを思っていた。
なぜ僕の立場からそんなことが言えるのか。それは現在、僕の活動も彼女に手伝ってもらっているからだ。この春から所属事務所との契約形態を変えた僕が、新たなチーム編成で活動するに当たり、金野さんに声を掛けて加わってもらったというわけだ。自分自身がさらに飛躍するために必要な人だと感じている。それは僕のことを理解し、応援してくれている人と言い換えることもできる。とても大切な気持ちの部分。
25年の歳月を経て、ここにきてお互いが積み重ねてきた仕事で交われることは、それぞれが努力してきたことの結果であり、少しだけ誇らしさを感じる。今もつながる多くの出会いを生んだ柏葉高校。とても良い高校を選んだ。それも『Precious Time』である。
<Keishi Tanaka(タナカ・ケイシ)>
ミュージシャン。1982年大樹町生まれ。帯広柏葉高卒。Riddim Saunterを解散後、ソロ名義での活動を続け、V6への楽曲提供も話題となる。ニューアルバム『Like A Diary』のリリースツアーを終え、次は9月のバンド編成ライブに向かう。









