地域を守る上美生の取り組み学ぶ 幌延町の地域おこし協力隊員が現地研修
【芽室】芽室町の上美生地区に4月から、宗谷管内幌延町の地域おこし協力隊(集落支援)の小林典之さん(60)が研修で訪れている。上美生地区の食料品店や地域交通の運営を行うNPO法人上美生(河口啓明代表理事)の取り組みを学び、幌延町問寒別(といかんべつ)地区の集落支援に生かしたいという。6月5日まで滞在する予定。(近藤周)
問寒別地区は幌延市街から約25キロ離れ、人口約200人。課題は人口減少の中、どう地域を守っていくかだ。数年前には地域の唯一のスーパーだったAコープが閉店した。
一方、上美生も2018年にAコープの閉店を経験。店の継続で地域コミュニティーを守ろうと、地域住民でNPO法人を立ち上げ、Aコープの店舗を活用した「みんなのお店KAMIBI」を運営している。他に地域交通や弁当配達にも取り組んでいる。
問寒別とも共通点が多い上美生の先進事例は幌延町の目にとまり、両地区は5年ほど前から集落支援をテーマに関係者が交流。幌延から上美生に視察に訪れたり、意見交換を行ったこともある。
問寒別でも昨年6月、地域づくりを目的としたNPO法人が発足。東京の民間企業を定年退職し、4月に40年ぶりに問寒別に戻った小林さんが集落支援員に着任した。上美生のNPOの取り組みを長期的に学ぼうと、町は小林さんを上美生に派遣。現在、KAMIBIの運営を学び、地区と法人の会議に出席するなどして法人運営のノウハウを学んでいる。
小林さんは「『上美生地域を継続していこう』という情熱を皆さんが持っていることを感じる。問寒別にこの思いを持ち帰りたい」と話す。
NPO法人上美生の蘆田千秋理事は「上美生としても問寒別は共に頑張る『同士』のような存在。交流をすることで、内向きな視野を広げられる」と話し、今後も交流を続けていきたいとしている。