響け魂のドラム 筋ジスの和田さん、7日に初のコンサート
音更町出身で、手稲養護学校三角山分校(札幌)に通う和田輝政さん(17)が、全身の筋力が低下する難病の筋ジストロフィー症を抱えながら、タブレット型端末などを駆使したドラム演奏に励んでいる。和田さんは同校で、自身と同じ音更共栄中出身のピアノ奏者でもある担任の田中貴志教諭(52)と「奇跡の出会い」を果たし、「KYOEI BROTHERS」を結成。7日に帯広市内の岡書イーストモール店(東4南16)で初のコンサートに臨む。(大谷健人)
病気「嫌」と思わず
和田さんは音更柳町小、共栄中卒。出生時から四肢に異常があり、5歳の時にウルリッヒ型筋ジストロフィーと診断された。
「病気を『嫌だ』と思ったことは一度もない」と語る和田さん。工夫して少しずつできることを増やしてきた。幼少期からゲーム音楽や手遊びでリズムを刻むのが好きだった。小学5年生の時、当時の担任教諭が、和田さんに演奏してもらおうと自宅からドラムセットを学校に持ち込み、「とにかく夢中になってたたいていた」(和田さん)という経験が音楽への興味をより一層強くしたという。中学2年生からはゲーム音楽のアレンジやオリジナル曲の作曲をし、動画投稿サイトに投稿するようにもなった。
田中教諭は音更緑陽台小、共栄中、帯広柏葉高校卒。幼少期からピアノを学び、大学卒業後、バンドやピアニスト、シンガーへの楽曲提供などの活動をし、音楽教諭として教員の道に進んだ。
長期入院で出会い
和田さんが中学2年の時、北海道医療センター(札幌)に長期入院することとなり、同センターの入院患者を対象とする同分校に勤務する田中教諭と出会った。和田さんが地元の高校に進学したいという思いと病状とのはざまで悩む中、田中教諭は親身に寄り添い、和田さんはセンターに入院しながら同分校で学ぶことを決めた。「三角山分校に進むのなら音楽クリエーターになりたい」。その時に和田さんがそう決意をしたためた作文を、田中教諭は今でも大切にしているという。
和田さんは昨年の学校祭で同じくタブレット端末を使ってエレキギターやエレキベース、オルガンなどの音色を奏でる級友と演奏を披露。和田さんと田中教諭は「地元の十勝でも演奏の機会を」と今回のコンサートを企画した。
タブレット駆使
和田さんの演奏手法は、手元のタブレット端末をビデオカメラで撮影して頭上のモニターに映し、それを見てアプリ内のドラムセットを指や手で操作する。田中教諭は和田さんの演奏について「リズムキープだけでも大変なのに、アドリブも入れるなど天性の才能がある」と絶賛する。
コンサートではブルース、ジャズ、クラシックやオリジナルなど、さまざまなジャンルの曲を演奏する予定。和田さんは「不安はあるが一生懸命演奏したい」とし、田中教諭は「和田君が将来、自立した生活をしていくには、多くの理解や協力が不可欠。音楽活動を通じて、和田君を広く知ってもらえたら」と話している。
コンサートは午後2時から。入場無料。
響け魂のドラム 筋ジスの和田さん、7日に初のコンサート