落語普及へプロ独演会 事業集大成で発表会も 幕別
【幕別】幕別町が2022~24年度の3カ年で取り組む落語文化の普及事業が今年度で集大成を迎える。幕別百年記念ホールの運営を担うNPO法人まくべつ町民芸術劇場が事業を受託し、落語教室や地域のアマチュア落語家の発表会、プロの落語家を招いた鑑賞会などを開く。地域内の落語の取り組みを増やすことで、町内の落語の機運を高め、プロの落語家の独演会を開くなど町民が落語に触れられる機会を増やす考えだ。(吉原慧)
落語の普及事業は、まくべつ町民芸術劇場が主催する「落語教室」と教室の生徒による「発表大会」、プロの落語家による「鑑賞会」の三つで構成。
落語教室は、事業が始まる前の18年から、同NPOが取り組んでいる。町内の国語の教科書でも落語が題材となっていることや、江戸時代の庶民の暮らしなど文化的な要素が多いことなどから、情操教育として教室を開講した。
北海道大学の落語研究会出身で、道内各地で落語の普及に取り組む笑生十八番(しょうせい・おはこ)さんを講師に招き、就学前の年長児から中学3年生まで、月2回教室を開く。20年からは大人向けの教室も開き、高校生から社会人まで8人が通っている。
幅広い町民に落語に触れてもらう鑑賞会「まくべつ格別落語まつり」は、委託事業として22年度にスタート。初年度は管内アマチュア落語家の発表の場として「道東圏」から参加者を募った競技会とプロの落語家の鑑賞会を、2年目の昨年は落語教室の交流拡大を目指して道内から参加者を募ったアマチュア落語大会とプロの鑑賞会を開いた。
今年度は、落語教室の参加者が町内の公共施設や学校などで落語文化を発信することを目指し、技能向上のため全国のアマチュア落語家による競技会を開催。鑑賞会(9月15、16日開催予定)には、人気番組「笑点」で司会も務める落語家春風亭昇太さんや、NHK新人落語大賞も受賞した女性上方落語家桂二葉さんらが出演する。
教室や鑑賞会などで落語に触れる機会を増やしたことで、プロの落語家による独演会や落語会などのイベントが町内で行われる機会も増えつつある。「教室開講前は年に1件あるかどうか」(NPO)という百年記念ホールでの落語関連の催しは、22年度に8件、23年度に6件開催され、今年度も既に2件(月2回の落語教室は除く)開かれた。
落語事業を担当するNPOの岡本祐也さんは「落語を町民に身近なものにするためには、イベント(鑑賞会など)で興味を持った町民が落語に触れられる機会を増やすことが重要になる。まずは鑑賞会で落語好きの裾野を広げたい」と話している。