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僕が徳島を好きな理由~人の気配

cue!オーナーの青木将さん

 先月に続き、最近の弾き語りツアーで訪れた街とそこに住む友人を紹介したい。今回は四国、徳島の話。

 「踊る阿呆に見る阿呆」の阿波おどりでおなじみの徳島。空港から車を走らせ、これは本当に川なのかと疑いたくなるほどの川幅を持つ吉野川を越えたところに徳島駅がある。駅前にはちょうど良いサイズの繁華街が広がり、その真ん中にはまた別の川が流れている。顔を上げれば眉山(びざん)と呼ばれる小さな山があるその風景を、僕はとても気に入っている。初めて訪れた時から、妙に気持ちが落ち着く街なのである。

 そして、徳島に行く際にはいつも連絡をとり、ライブを手伝ってくれている青木将さんの存在も大きい。インテリア雑貨を中心に扱う「cue!」のオーナーであり、自身がDJもするほど音楽好きの青木さんと出会い、僕と徳島との距離は一気に縮まったのである。

 出会いは、僕が『秘密の森』という曲をリリースした時。絵本に音楽がついているという特殊な形態の作品で、CDショップ以外にも取り扱ってくれる場所を探していた際、手を挙げてくれたひとりが青木さんだった。まだ知り合ってもない僕やレコード会社に連絡をする労力。まとまった数を買い取るリスク。僕の音楽に何かを感じてくれていることは明らかだったし、やりとりの中から見える人柄もあって、僕が徳島でのライブを決めるまでに、それほど時間はかからなかった。それから何度も青木さんと一緒に徳島でのライブを企画している。

 生で阿波おどりを観てみたいとずっと思っている。今回、青木さんにそのことを伝えると、前のめりで「ぜひ!」といろんな提案をしてくれた。青木さんが使う言葉にうそがないことを知っている。僕は来年夏のスケジュールを考え始める。



<Keishi Tanaka(タナカ・ケイシ)>
 ミュージシャン。1982年大樹町生まれ。帯広柏葉高卒。Riddim Saunterを解散後、ソロ名義での活動を続ける。V6への楽曲提供が話題になるなか、ニューアルバム『Chase Af-ter』をリリース。12月9日に帯広でのライブが決まっている。

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