足寄高の初挑戦に感無量、1回戦敗退も「胸張って」 高校野球北大会
【旭川】14日に旭川スタルヒン球場で熱戦の火ぶたが切られた第105回全国高校野球選手権記念北北海道大会で、足寄高校は1-8の七回コールド負けと無念の結果になった。南北海道も含めた地区代表32校で唯一初出場のチームの挑戦が終わった。「胸を張って足寄に戻ってきて」。憧れの甲子園を目指して諦めない姿勢を見せた選手たちに、一塁側のスタンドから熱い声援と温かな拍手が送られた。
前日の開会式は約200人の町民が旭川に足を運んだが、雨脚が強まり1回戦3試合は順延に。仕切り直しとなったこの日は、試合開始前に、緑色のTシャツを着た足寄高校野球部後援会(原子智志会長)や足寄高校野球部を応援する会(安久津勝彦会長)のメンバー、町民ら総勢約150人が駆け付け、プレーごとに声を出して熱心に見守った。原子会長(45)は「間違いなく選手の励みになっている」と話した。
試合ではトランペットと太鼓の演奏、声援が選手を後押しした。全校応援はかなわなかったが、同校吹奏楽局の代わりに、社会人の足寄吹奏楽団(坂田勝彦団長)がサポートした。同校野球部OBの鈴木宗男参院議員も連日応援。13日はOBで歌手の松山千春さんもスタンドに姿を見せ、「後輩たちが立派に十勝の代表として出場してくれた。感無量で卒業生も誇りに思っている」と話した。
町村部の公立高校の挑戦は関心を集めた。応援する会が窓口となった野球部への寄付金は、1週間で600万円を超えた。この日は観戦できなかったが、2016年春から2年間、第23代校長を務めた林満章さん(63)=札幌国際大スポーツ人間学部特任教授=は感慨深げだ。着任当時は部員は1人。グラウンドも草が伸び放題だった。「フキが生えていて、ぐちゃぐちゃだった」。地元の建設会社の協力でグラウンドを再生し、翌年夏には単独チームとして出場した野球部を1回戦で全校応援。池田に0-14と五回コールド負けを喫したが、「そこからですよ。そこからのスタート」とぽつりとつぶやいた。
試合には敗れたものの、支部予選に続いてスタンドで観戦した同校2期生の甲斐孝志さん(83)は、「私たちの希望。町でも話題になっている。後輩たちをまだまだ応援し続けるよ」と力を込めた。足寄高校振興会の斉藤健司会長は「やればできる。まずは経験が重要。大きな一歩だった」と選手の健闘をたたえた。(北雅貴)