人の気配「いろんな顔を持つミュージシャン」
全国の面白い人を紹介してきたこの連載も気がつけば3年目に突入した。楽しみにしてくれている人がいることに感謝しながら、もう少し続けさせてもらおうと思う。
今回、25人目として紹介するのは、ついに自分のサポートメンバー、つまりは身近にいるミュージシャンである。東京のミュージシャンを紹介するのは今回が初めてだ。
ギタリストの四本晶さん。現在は「oysm」というバンドをやりながら、僕のサポートギターとしても活動を続けている。同時に、東京下北沢の人気居酒屋「おむかい」の店長としての顔も持ち、僕と共にアウトドア雑誌でキャンプ飯のレシピを紹介する連載も続けている。
さらに、最近は宅建の資格を取得し、不動産の仲介業なども始めた。年齢は40歳目前だが、その行動力は20歳そこそこの、好奇心のままに生きる若者のようだ。いや、やはりそこには今までの出会いや経験があるからこそ実ったものもあるはず。逆にいろんなことを知ってしまったからこその恐怖もあっただろう。
それでもやっぱり進む方が楽しいということを彼は知っている。気持ちを若く持ったまま、変化を恐れることなく、出会いを大切に生きていると、何歳になっても新しく魅力的なことが始まったりするものだ。一緒に遊んでいると、そんなことをふと思い出す。そう気づかせてくれる彼は、僕にとって大切な仲間なのである。
全てがうまくいくことなんてありえない。転んでしまうことだってあるだろう。しかも一度や二度ではなく、何度も転んでは起き上がってを繰り返す。人生なんてそんなもんだし、それで良いのだ。6年前に作った『Break It Down』でも僕はそう歌っていた。
<Keishi Tanaka(タナカ・ケイシ)>
ミュージシャン。1982年大樹町生まれ。帯広柏葉高卒。Riddim Saunterを解散後、ソロ名義での活動を続ける。V6への楽曲提供が話題になるなか、ニューアルバム『Chase Af-ter』をリリース。7月8日に新得町で開催される[GANKE FES 2023]に出演する。