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鹿追産オパールに新種鉱物、「北海道石」と命名 石油生成過程の解明も

鹿追のジオパークビジターセンターに展示されている町内で産出したオパール。黄色く光っている部分が新種と認められた北海道石(紫外線ライトを当てて撮影)

 【鹿追】鹿追町内で産出するオパールに含まれる有機鉱物が、国際鉱物学連合に新種と認められ、「北海道石(ほっかいどうせき)」(学名hokkaidoite)と命名された。北海道石は、地中深部の古生物の遺骸が高温で変質して熱水に溶けて地上に運ばれてきたもので、「ベンゾペリレン」と呼ばれる炭化水素の天然の結晶。日本で炭化水素鉱物が見つかったのは初めて。生成過程は石油ができる過程と似ていることから、石油生成の謎を解く鍵にもなると期待される。

 26日に千葉市で開かれた学会「日本地球惑星科学連合2023大会」で、相模中央化学研究所主任研究員(工学博士)の田中陵二氏(50)が発表した。

 北海道石の調査は、田中氏のほか、大阪大学総合学術博物館招へい研究員の石橋隆氏(45)、日本地学研究会の萩原昭人氏(54)、九州大大学院理学府地球科学専攻の大学院生、井上裕貴氏(25)の研究グループが実施した。

 新種の鉱物を発見したきっかけは、萩原氏が採取した上川管内愛別町の鉱物に、黄色みを帯びた鉱物が含まれていることに石橋氏が気付き、成分の分析を進めたこと。

 その結果、これまで日本では発見されていない有機鉱物のカルパチア石であることを確認。さらに有機化合物合成の専門家である田中氏が愛別町の鉱物を詳細に分析したところ、同石とは違う未知の有機鉱物を見つけた。

 有機鉱物は紫外線を照射すると蛍光を発することは知られている。すでに鹿追町のオパールが光ることは知られており、同町内の山林で4氏が採取して分析。愛別町の鉱物に含まれていたものと同じ北海道石を確認した。

 北海道石は火山活動による熱水によって古生物遺骸の変質が極端に進行した熱水性石油の一種とみなすことができるとし、石橋氏は「石油が生成される過程の謎を解く可能性もある」としている。

喜井知己鹿追町長の話
 とかち鹿追ジオパーク内で学術的に貴重な発見がなされたことは大変喜ばしい。併せて鹿追町内のオパールの産地は無許可での採掘は禁じられている。変動する地球の活動を知る上でも重要な場所であり、貴重な自然遺産を保護・保全していくことに協力してほしい。(平田幸嗣)

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