老人福祉施設6割強がクラスター経験、人手確保に苦労も 十勝老施協アンケート
十勝老人福祉施設協議会(成田啓介会長)は27日までに、昨年12月に行った新型コロナウイルスに関するアンケートの結果を公表した。回答した53施設のうち、6割強の33施設でクラスター(感染者集団)が発生していたことが分かった。発生件数は計43件と一部では複数回発生。クラスターの多かった時期や職員の症状の傾向などもデータ化され、同協議会は「テレビや新聞の報道では見えなかった実際の状況が把握できた」としている。
同協議会は管内の85事業所で構成。今回のアンケートは57施設のうち53施設、28在宅事業所(デイサービス)のうち11事業所が回答した。24日に開かれた総会で公表された。
施設のアンケートによると、回答した53施設のうち、52施設の職員と37施設の利用者が新型コロナに感染。クラスターの発生は2021年末までは計3件だったが、22年1~6月に9件、同年7~12月は31件と昨年後半に大幅に増えたことが明らかになった。
職員の症状の傾向(回答数計699)はせき(225)、のどの痛み(180)、倦怠(けんたい)感(145)の順に多く、その三つで8割弱を占めた。
人手確保についての回答数(計39)は、「他部署が応援」が22、「人手不足になった」が13、人手不足の影響で「デイサービスを中止した」が4だった。
また、11在宅事業所によるアンケート結果では、10事業所の職員と9事業所の利用者が新型コロナに感染したが、クラスターは1事業所のみだった。
成田会長は「各施設でクラスターが発生し、職員のやりくりに苦労している現状が浮き彫りになった」と結果を振り返り、「昨年12月以降にクラスターが発生した施設もあり、コロナの後遺症に悩む職員もいる。各施設は面会制限の緩和などは進めつつ、今後も感染対策をしっかり行うことは変わらない」と話している。(松村智裕)