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人の気配「人のために動けるのは優しさ」

司会進行をする伊藤崇慶さん

 この連載を始めてもうすぐ2年。ライブツアーやアウトドア取材で訪れた全国の街とそこで暮らす人を紹介するような気持ちで書き続けているが、もちろん地元十勝にも人の気配たっぷりな仲間はいる。今回はいつもと志向を変え、十勝に住んでいる同級生をひとり紹介しようと思う。

 2023年1月3日、帯広柏葉高校の同窓会が開かれた。幹事は当時の生徒会長・伊藤崇慶さん。サッカー部に所属し、行事の際にはいつもステージの上でみんなを笑わせていた、まさに人気者である。そんな彼の呼び掛けで、40歳を迎えた僕らは北海道ホテルに集まった。

 10代の頃と変わらず、彼は僕らを楽しませるために奮闘していた。自ら受付をし、司会進行をしながら乾杯の音頭を取り、前日の深夜3時まで撮っていたというYouTuber風の映像を流し、そこから飛び出して来たかのような演出で会場を盛り上げた。彼にしかできない総合司会である。

 同窓会の幹事や司会は、できればやりたくない人の方が多いだろう。隠さずに言おう。僕もその1人である。性格の問題もあるが、そういった役割がない方がその日を楽しめることは間違いない。その全てを引き受けた彼はすごい。家族を巻き込んで撮影された映像を観ながら感動すら覚えた。人のために動けるということは、言うまでもなく優しさである。その優しさは学生時代からであり、今はその背中を3人の子供たちに見せている。

 酔っ払いながら一緒に歩いた雪道で彼の足跡を見て、自分の『A Base Of Life』という曲を思い出していた。初心忘れるべからず。2月12日に開催する帯広RESTでのライブに彼と彼の家族を招待し、歌を聴いてもらおうと思う。


<Keishi Tanaka(タナカ・ケイシ)>
 ミュージシャン。1982年大樹町生まれ。大樹小、大樹中、帯広柏葉高卒。一昨年のV6への楽曲提供が話題。ニューアルバム『Chase After』をひっさげ、2月12日に帯広RESTのステージに立つ。

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