人の気配「僕にとっての人気者」
僕が全国で出会った人気者を紹介するこの連載。今回は戸田明子さんという女性について書こうと思う。「GREENS CORPORATION」でコンサートプロモーターの仕事をしている戸田さんは、僕の関西でのライブの多くを取り仕切り、気がつけば優に10年を超える付き合いとなる。
「人気者」というと、いつも輪の真ん中にいるイメージを持つだろう。辞書には「多くの人々の受けがよく、もてはやされる人」と書いてある。コンサートプロモーターといえば、コンサートやライブの現場ではスタッフと呼ばれ、中心というよりは輪を支えるのが仕事ということになる。これを読んだ本人からも、「人気者のテーマで私ですか!?」というツッコミが入ることも想像に難くない。
まずいいたいのは、その存在は僕らミュージシャンが絶対的に必要としている職業であること。特に中規模以上の公演では、彼女らがいないと成り立たない。半年前、1年前から打ち合わせを重ね、ライブを一緒に作る感覚。さらに、当日はその人がいれば安心できること。場の空気をちょっとしたことで引き締めたり、緩めたりもしているように感じる。その大切な仕事の、関西の僕の担当が戸田さんで、変わらない関係が10年以上続いているということ。決して誰でも良いわけではないのだ。
戸田さんが好きだと言ってくれた『Wonderful Seasons』で歌っているように、どんなときも季節は変わり続ける。そして何度目かの良い季節にふと気がつくその人の魅力。この連載では、輪の中心にいる人だけを紹介しようとは思わない。そうじゃなくても僕のように求めている人がいること。「人の気配を感じる者」を僕は「人気者」と呼んでいる。
<Keishi Tanaka(タナカ・ケイシ)>
ミュージシャン。1982年大樹町生まれ。大樹小、大樹中、帯広柏葉高卒。昨年のV6への楽曲提供が話題。12月7日にはニューアルバム『Chase After』がリリースされる。