思いは憧れに、そして現実に 19歳のバス運転士、年内にもデビューへ 音更
【音更】北海道拓殖バス(本社音更、中木基博社長、社員144人)の運転士志望で入社2年目の齋藤真生さん(19)が9月28日に路線バスの運転に必要な大型自動車第二種運転免許を取得した。年内に運転士としてデビューする予定だ。10代の運転士が誕生すれば、1961(昭和36)年に同社が創業して以来初となる。
5月に道路交通法が改正され、第二種運転免許の取得要件が従来の「21歳以上で普通自動車第一種運転免許保有歴3年以上」から、受験資格特例教習を受ければ、「19歳以上で同免許保有歴1年以上」に緩和された。
齋藤さんは2003年帯広市生まれ。帯広啓北小、帯広第一中、士幌高校を卒業後、21年4月に同社に入社。父親が大型自動車の整備士だったことから、幼い頃から大型車両に興味があったという。
高校通学で利用していた同社運行のスクールバスで、運転士の働く姿を毎日のように目にしているうちに関心を持つようになり、次第にその思いは憧れへと変わった。齋藤さんの名前を覚えていて、バスの運転席からエールを送ってくれたこともあった。優しい気遣いある接遇に触れ、齋藤さんは高校2年生の時に「将来はスクールバスの運転士になりたい」と心に決めた。
運転士志望で同社に入社したが、当時は道交法改正前だったため、事務業務や車掌業務などでバス事業の理解を深める日々が続いた。運転士になる日を夢見ながらひたすら仕事に打ち込み、入社2年目に期せずして、第二種運転免許の取得要件が緩和された。
同社の乗務員は齋藤さんを含め78人。20代2人、30代3人、40代18人、50代23人、60代23人、70代8人で、10代は齋藤さんだけ。乗務員の先輩たちを含め、同社社員らのサポートやアドバイスを受け、齋藤さんは「支えてもらって本当に感謝している」と相好を崩す。
6月中旬から7月中旬まで、帯広第一自動車学校で受験資格特例教習を受けた。引き続き、日々の業務をこなしつつ、7月20日から9月22日まで芽室自動車学校に通って技能試験をクリア。同28日に学科試験をパスし、晴れて大型自動車第二種運転免許を取得した。
目下、デビューに向けて、接客・接遇マナーなどを含めて乗客を乗せてバスを運転するための最終的な研修に励んでいる。齋藤さんは「早くお客さんを乗せてバスを運転したい。そしていつかスクールバスも運転してみたい」と目を輝かせている。(内形勝也)