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人の気配「一回きりの関係ではない」

「RAF-REC」のオーナーの高取信哉さん

 人々が集い、情報交換をしながら、楽しいことや新しいアイデアを共有する。そういう場所がある幸せは、当たり前に過ごしているときはなかなか気が付かず、変化が訪れたときに痛烈に感じたりする。この2年間がそうだったように。

 山形市の駅前、繁華街とは逆側の出口を出たところに「RAF-REC」という店がある。レコードを販売しながら、コーヒーやお酒を飲むこともでき、時にはライブ会場にもなる。山形の人にとって重要だと思われるその場所は、何度かそこで歌い、オーナーの高取信哉さんと話をするうちに、僕にとっても重要な場所になっていた。もちろんたまにしか行くことはできないが、また行きたいと思う場所があって、会いたいと思う人がいるということは、間違いなく僕の財産である。

 今年の7月に山形市でライブをする。実は2年前に中止になった山形でのライブがあり、そのときは「RAF-REC」との共同開催で発表をしていた。そして今年、再び山形市に行けることになったので、改めて高取さんに相談を持ちかけたところ、店の冠を付けての主催は今はまだ難しいということだった。話を聞いて、その理由に僕も納得できたし、最大限の協力はするとも言ってくれた。何より、店を守ることや、もっと先のことを考えているように感じ、正直に話してくれたことがうれしかった。僕らは一回きりの関係ではない。そう思えれば、お互いを尊重することもできる。

 7月のライブは「Keishi Tanaka presents」という冠を付けてのツアーとして最高な夜にしようと思っている。高取さんに会えるのも楽しみだし、そのときにまた次の話ができるかもしれない。人生は続いていく。今の気分は『I Like It』。
(第2火曜日掲載)



<Keishi Tanaka(タナカ・ケイシ)>
 ミュージシャン。1982年大樹町生まれ。大樹小、大樹中、帯広柏葉高卒。昨年のV6への楽曲提供が話題。6月から全国11本のツアーが始まる。

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