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「百点満点の人間性」 際立つリーダーシップと深慮 個人初金の高木美帆 北京五輪スピードスケート

帯広南商業高時代に学校祭でチャリティー活動を行った高木美帆選手(右、2010年)

 【中国・北京=北雅貴】スピードスケートの女子1000メートルで個人種目自身初の金メダルに輝いた、幕別町出身の高木美帆選手は責任感の強さと深く考える力が際立っている。2大会連続の金メダルを狙った女子団体追い抜きで2位となったレース後、無念の気持ちをしまい込み、優勝したカナダチームに歩み寄り、笑顔で祝福する姿があった。「カナダの選手たちのレースが素晴らしかったのと、(落胆する仲間を見て)自分がしっかりしなければとの気持ちがあった」と振り返る。

 子どもの頃からリーダーシップがあった。札内中の2、3年生時に担任で、スケートの指導者の一人でもあった石原宏希さん(51)=帯八千代中教諭=は「学級委員長も務め、勉強もスポーツもクラスの中心だった」と懐かしむ。体育祭のムカデ競走でも先頭で皆を引っ張り、文化祭の壁新聞では編集長も務めた。

 大人になってもその姿勢は変わらない。金銀銅メダルを取った2018年の平昌五輪から3カ月後に、宮崎県で行われたナショナルチームの合宿。メンバーやスタッフも入れ替わったこともあり、当時23歳の高木選手は「スピードスケートを一生懸命に頑張るのは当たり前として、そのほかにもこのチームをつくり上げていく中で何ができるのかを考えていきたい」と話していた。

 日体大のスケート部の監督で、氷上スポーツ研究のゼミで高木選手を教えた青柳徹さん(53)は、今回の北京五輪で日本選手団の主将の打診を日本オリンピック委員会(JOC)から打診された際、真剣に向き合っていたという。5種目に出場する厳しい競技日程の中で、「普通ならうまくこなそうとするが、主将になるということは、どれぐらい何をすれば良いのかと考えていた」と目を細める。

 人柄は後輩の選手も魅了する。今五輪の女子5000メートルに出場した大樹町出身の堀川桃香選手(18)=白樺学園高3年=は高木選手に強い憧れを持つ。今季は高木選手と一緒に練習する機会が増え、ワールドカップの前半戦では近くで過ごす時間が増えた。「速いだけでなく私のような人にも話し掛けてくれる。緊張との向き合い方で『緊張を力に変えるんだよ』と言われた」と目を輝かせた。

 バンクーバー五輪から親交のある石澤志穂さん(35)=帯大谷短大教育助手、駒大苫小牧高-中札内中出=は、高木選手が世界で活躍するにつれ、もともとあった人間性にさらに深みを感じるようになったという。「プライベートの時間でも、ぐっと考えて一言一言を自分の言葉で話そうとする」と感心する。石澤さんと仲の良い平昌五輪女子500メートル金メダリストの小平奈緒選手(35)=相澤病院=とも共通する「いろいろな人の心をくみ取ろうとする。ネガティブな言葉が出てこない百点満点の人間性」で、金メダリストの仲間入りを果たした。

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