石澤志穂の目「押切、堀川両選手の好走『日本の長距離界にとって大きな一歩』」
高校生の堀川桃香選手、大舞台での自己ベスト更新という堂々たる結果でのオリンピックデビューを果たしました。5000メートルは残り5周から苦しくなってくるので、特にラップの落ち幅に気をつけなければなりません。堀川選手はスケーティングを崩すことなく、ラスト1周までコンマ5秒以内の落ち幅に収め、正確なラップを刻みました。最後まで力強い滑りで、4年後のオリンピックにも、期待ができるレースとなりました。
押切美沙紀選手も頑張りました。日本人では低地リンクで7分を切ることが難しいとされる中、6分台に迫る粘り強い滑りを見せてくれました。多くの選手は疲れてくると、横に押せていた脚の方向が縦の蹴りになります。そうすると力が後ろに逃げてしまい、後半にかけてラップが大きく落ちてしまいますが、押切選手は苦しい場面でも氷に伝える方向が崩れていなかったため、効率良く力を出し切れたと思います。高速リンクで滑っていたら日本記録を更新していたかもしれません。
長年、日本長距離界は世界との距離がありましたが、両選手の好記録によって大きな1歩を踏み出すことができました。
(石澤志穂さん=バンクーバー、ソチ五輪3000メートルと5000メートル出場)