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背中を追ったブストに実力で並ぶも「オリンピックは違う」 高木美帆 北京五輪スピードスケート

 【中国・北京=北雅貴】ゴール後に天井を見上げて大きく息をついた。0秒44差。2018年の平昌(ピョンチャン)五輪と同じく、前回大会までに金メダル5つを含む計11ものメダルを持つ35歳のイレイン・ブスト(オランダ)に、またもや及ばなかった。喜びもあった4年前と同じ色のメダルでも気持ちが違った。上り調子で「どこまで行けるか」と臨んだ平昌と比べ、実績を積み重ねて「金メダルを取る」と勝利にこだわった北京。ただただ、悔しかった。

迷わず積極策
 ブストが3組前で五輪新記録を出しても動揺はなかった。「タイムは耳に入ってはいたが、自分の滑りを出せれば勝てるし、出せなければ届かないだけ」。6位だった2日前の3000メートルの後に感じた多少の不安と迷いは、もうなかった。前半から積極的な滑りで700メートル通過時点で1位。1100メートルでもブストに0秒03差の2位で回った。持ち味の最後の1周の粘り。前周との落ち幅が少ない武器を持つ。この日は最後の直線でバランスを崩しそうになりながらも足を動かしたが、疲れからスケーティングがやや乱れてタイムを縮められなかった。

 高木美にとってブストは思い入れの強い選手だ。札内中3年生で初出場した10年のバンクーバー五輪では、優勝のブストと4秒97もの大差で23位。圧倒的な差を見せ付けられかなわないと思った。同五輪で同部屋だった穂積雅子さん(千歳市在住)にも「なんであんなに速いのですかね」と冗談っぽく話したことも。

 落選した14年のソチ五輪直後にオランダで実施された世界オールラウンド選手権では、日体大の青柳徹監督(53)の指示で、練習で後ろに付いて肌でスケーティングを感じた。同年に新設されたナショナルチームで、ヨハン・デビットコーチ(オランダ)に「同じ人間なのになぜ勝てないと思うのか」と声を掛けられた。

 中長距離は一歩のストロークが長くなる大柄な選手が有利とされる。海外選手より小柄な高木美は、高校1年生から取り組んできた技術を磨き続けると同時に体の強さも求めてきた。平昌では0秒20差まで詰め寄り、「レベルが違う人の意識は全然ない」とライバルになった。

強さに脱帽
 今季はワールドカップ(W杯)で3度優勝し、ブストにはいずれも先行していた。それでも届かなかった。「普段戦っている舞台とオリンピックは違うんだなと痛感している。最大のピークを合わせた彼女に勝てなかった。本当に強かったの一言」と脱帽。レース後に歩み寄り、敬意を込めて握手を求めた。

 以前に口にしていた「1500メートルと1000メートルは1番になりたい」。並々ならぬ意欲のあった1500メートルは惜敗したが、1000メートルと2連覇の懸かる団体追い抜き、さらには初挑戦となる500メートルも控える。「気持ちと体を整理して次に向かいたい」と力を込めた。

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氷点下の中 アイスワイン用ブドウ手摘み 池田

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