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つながる道東道~道央直結10年(上)「観光」

観光客らが立ち寄る道東道十勝平原サービスエリア(8月)

入り込み1000万人到来 札幌から日帰り圏に
 「目的地に早く到着でき、ストレスなく移動ができるのは旅行にとって大きな魅力」。十勝川温泉観光協会の窪浩政事務局次長は道東自動車道の道央直結の意義を強調する。

 帯広市役所から札幌市役所までの所要時間を見ると、全て一般道を利用した場合の4時間20分に比べ、全て道東道を利用した場合は80分短縮の3時間。信号や交差点がないなど、交通環境も良く、運転による心身の負担感も軽減されるようになった。

高速バス利用倍増
 マイカーのほか、帯広-札幌間の都市間高速バスの利便性も高まった。十勝バス(帯広)や北海道拓殖バス(音更)など5社が共同運行する「ポテトライナー」は所要時間が30分短縮され、便数は1日7往復から10往復に増加(現在は土日曜・祝日のみ12往復体制)。利用者数は直結前の2倍以上に増え、十勝バスの長沢敏彦事業本部長は「直結の効果は絶大。一度乗れば快適さを感じてもらえている」とする。19年には北海道バス(札幌)が同路線に参入、現在は1日6往復で「帯広ニュースター号」を運行している。

 十勝清水インターチェンジ(IC)-トマムIC間の日平均交通量は、同区間が開通した2007年度が3100台だったのに対し、19年度は7600台に増加した。

 アクセスの向上は十勝の観光に大きなメリットを与えた。直結に合わせた官民のプロモーション効果もあり、管内の観光入り込み客数は直結前の2010年度の903万2000人から年々増加し、17年度には過去最高の1042万100人を記録。十勝観光連盟の植松秀訓専務は「札幌圏から日帰り圏内になり、十勝に足を運んでくれる人が増えた。入り込み客数を見ると直結の効果が顕著に表れている」と語る。

 十勝川温泉観光協会では、道央直結を見据え、08年に札幌と同温泉を結ぶ無料送迎バス「モール温泉号」の運行を開始。同協会の窪事務局次長は「札幌圏からのお客さんは年々増えている」と話す。

「出るより入る」
 当初は札幌方面に購買力を吸い取られる「ストロー現象」への懸念も大きかったが、道東道とかち連携協議会の野村文吾会長は「1万人が出て行っても、2万人が入ってくる構図となった」と述べる。

 24年度には阿寒IC-釧路西IC間が開通して釧路方面と直結し、足寄IC-陸別IC間の事業再開により北見方面との直結にもめどが立った。観光関係者は「ネットワークができることで、道東の周遊性が高まる」と、さらなる観光客の増加に期待を寄せている。(津田恭平)

 ◇   ◇   ◇

 道東自動車道の夕張IC-占冠IC間が開通し、十勝と道央圏が直結して10月29日で丸10年を迎えた。観光や物流面での効果や、今後の道路整備に向けた動きを検証する。


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