十勝で甘い「バニラ」を 栽培プロジェクト始動
【音更】甘い香りが特徴で菓子などの香料として使用される「バニラ」を十勝で栽培する「十勝バニラプロジェクト」が、動き始めた。13日にはマンゴーを生産・販売するノラワークスジャパン(帯広市、中川裕之社長)の音更町内にあるビニールハウスで、試験栽培中のバニラの生育状況を確認する勉強会が開かれた。
勉強会には、中川社長、プロジェクトを立ち上げた佐々木直美さん(帯広市議)、中田食品(帯広市)の貴戸武利社長、バイオガスプラントに関わる友夢(ゆうむ)牧場(新得町)と鹿追町職員らが参加した。
国内で流通するバニラは、ほぼ海外輸入品に頼っているのが現状。宮崎県や札幌市など一部で事業化の動きもあるが、国内で本格的に栽培する地域は珍しい。
今回のプロジェクトは、バイオガスプラントの余剰熱など再生エネルギーを活用し、十勝でバニラを生産できないかという試み。将来的には障害者雇用の創出につなげるといった「農福連携」も視野に入れる。
昨年5月ごろ、岡山県の園芸会社からバニラの苗を入手して、音更町内のハウスで試験栽培をスタートさせた。中川社長によると、従来の事業の主軸とするマンゴー栽培の空きスペースを活用。マンゴー栽培で高温多湿を保つ設備があり、これまでのノウハウを生かしてバニラを栽培している。
中川社長は「宮崎県など先進地を参考にしながら育てていきたい。まだ事業化は見えないが、夢があり今後が楽しみ」と期待を寄せる。佐々木さんも「栽培する作物の種類が増えれば新たな雇用につながる。引き続き情報提供などで協力していきたい」と話している。(岡田優人)
熱帯地域を中心に高温多湿な環境で栽培される作物。収穫後に発酵・乾燥を繰り返す「キュアリング」と呼ばれる工程を経て、独特の甘い香りがする「バニラビーンズ」となる。さらに抽出加工することでバニラ香料となる。栽培開始から収穫まで3~5年が必要で加工作業も多いが、需要が高く市場では高値で取引されている
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