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アイヌ遺骨132年ぶり古里に戻る 浦幌

木箱に入れられて東大から返還されたアイヌの遺骨と副葬品。一時的に自宅敷地内の倉庫で保管する差間名誉会長(20日午後1時半ごろ、浦幌町厚内)

 【浦幌】明治・昭和期に浦幌町内の墓地から持ち出され、東京大学で保管されていたアイヌの遺骨6体と副葬品が20日、浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」(旧浦幌アイヌ協会、差間正樹名誉会長、長根弘喜会長)に返還された。遺骨のうち5体は132年ぶり、もう1体は55年ぶりに古里の地に帰った。

 同団体が2019年11月に、東大を相手取り起こした訴訟は今月7日に和解が成立した。これに伴い、東大は遺骨と副葬品を同団体に返還し、同団体は信教の自由が侵害されたなどとして求めていた損害賠償50万円を放棄した。

 原告代理人の市川守弘弁護士らによると、遺骨6体のうち5体は、東大の前身・旧東京帝国大学の小金井良精教授が、浦幌町ウツナイの墓地で1888(明治21)年に発掘。残る1体は、東大の渡部仁教授が同町十勝太の墓地で1965(昭和40)年に発掘したとされ、一緒に埋葬されていた太刀、キセルなどの副葬品も持ち去った。

 差間名誉会長と市川弁護士は今月17日、東大に出向き、返還される遺骨6体と副葬品を確認した。20日午前、東大から町厚内の差間名誉会長宅に七つの木箱に入れられて遺骨6体と副葬品が届いた。東大関係者は同行しなかった。差間名誉会長は「(遺骨と副葬品が返還されて)ほっとしている。ようやく古里に戻った先祖らを手厚く葬りたい」とコメントした。

 東大から返還された遺骨と副葬品は差間名誉会長宅の敷地内にある倉庫に一時的に保管され、22日に町内の浦幌墓園に再埋葬される。長根会長は「先祖を自分たちの手でしっかり埋葬したい」と話している。

 同団体が北海道大、札幌医科大、東大を相手取った一連の遺骨返還訴訟は、アイヌ遺骨102体(北大、札医大は返還済み)の古里への返還をもって決着した。(内形勝也)

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