「デジタル森林浴」で癒やしを 浦幌に新会社創業
【浦幌】大手IT企業の元社員らが中心となり、浦幌町内に林業を軸としたIT企業「forestdigital(フォレストデジタル)」(辻木勇二代表取締役CEO=最高経営責任者)を創業した。同社は、最新鋭のデジタル機器で撮影した森や自然の高精細立体映像を使った「デジタル森林浴」で、日常のストレスの軽減や外出が困難な人たちに“癒やしの空間”を提供する。
同社は、IT企業のGREEやヤフーでの管理職経験のあるメルペイ前取締役の辻木CEOと、ヤフーテレビの前チーフエンジニア原田健一CTO(最高技術責任者)を中心とする6人から成る。本社を浦幌町内の旧常室小学校を改装したTOKOMURO Lab(常室51)内に構え、東京都内にもオフィスを置く。
辻木CEOと原田CTOは、地域の魅力発信と新事業創出を目指して2017年度に実施した「浦幌ワークキャンプ」(実行委主催、代表・浦幌町、北村昌俊北村林業社長)をきっかけに、町民有志らと共に町内林業者向けの研修プログラム「木こりん」を開発し、今回の起業につなげた。
8K(解像度の高い次世代映像規格)の360度カメラなどで撮影した浦幌町内の「杉江山林」と呼ばれるカラマツ林をはじめ、「然別自然休養林」(鹿追町)、「上川浮島風景林」(上川管内上川町)、知床五湖(オホーツク管内斜里町)、など十勝管内外の約80種類の映像を保有している。
複数の大型スクリーンを視聴者を囲むように設置し、映像をプロジェクターで投影。風や川のせせらぎの音、匂いも組み合わせて、大自然の中を散歩しているかのような“癒やしの空間”を1回30分間ほど提供する。映像の提供先は、企業や学校、病院または個人など幅広く想定している。
今後は、屋久島の縄文杉、沖縄のマングローブ林、カナダのナイアガラの滝、米国のグランドキャニオンなど撮影対象地域を広げながら映像の種類を増やし、不特定多数のニーズに応えていく。
昨年12月上旬に農林水産省内で「デジタル森林浴」の体験をデモンストレーションし、好評を得た。辻木CEOは「心の健康の促進と、その場所に行きたくなるような映像を多くの人に提供したい」と話している。
浦幌町は、新規創業等促進補助金などで側面から支援しており、活動の広がりに期待を寄せている。
問い合わせは、同社support@forestdigital.orgへ。(内形勝也)