ヒグマ研究の成果発表 浦幌
【浦幌】町内をベースに白糠丘陵の道有林などでヒグマの調査研究を行っている大学生、大学院生の成果発表会「卒業論文大発表会2020in浦幌 浦幌のヒグマこんなに調べました!」(町立博物館主催)が8日、町教育文化センター2階視聴覚ホールで開かれた。
研究成果を地域にフィードバックすることを目的に2016年に始まり、今年で5回目。今回は町内外から約60人が来場した。酪農学園大学野生動物生態学研究室の4年生6人、同大水質化学研究室の4年生1人、同大大学院修士課程の2年生2人の計9人が発表した。
高山寛司さん(4年)は「カメラトラップの映像解析によるヒグマの性齢クラスの判別方法」と題して発表。ヒグマの手のひらの幅の違いで雌成獣と雄亜成獣の識別ができると考え、十勝総合振興局森林室が管理する道有林(浦幌町ほか)などで撮影されたヒグマの手のひらの幅を測った。
雌の成獣、亜成獣は共に17センチ以下だったが、雄亜成獣は値が大きくばらついたことから、映像の手の向きや背擦り木の傾きによる誤差が生じる可能性を指摘。計測条件の絞り込みなど誤差を小さくする方法を検証する必要があるとした。
また、村田朋弥さん(修士課程2年)が「ヒグマによる種子散布がヤマブドウ個体群の遺伝的空間構造に与える影響」、上田健太さん(同)が「カメラトラップを用いた札幌市に生息するヒグマの生息実態の解明」と題して報告した。
同研究室の佐藤喜和教授は「私たちは浦幌をメインに調査している。町中で赤いジャンパーの学生を見たら調査が始まったと感じてほしい」と話していた。
1階ロビーでは、同大の協力で開催してきた「ヒグマの学校」の教材を展示。自動撮影カメラに映った迫力あふれるヒグマの映像や等身大の毛皮、頭骨などが来場者の注目を集めていた。(円子紳一通信員)