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日本語教育、質向上へ力 教室開講や母国語通訳も

アシストワンパートナーズ協同組合の事務所で外国人技能実習生の日本語講習を受け持つ杉山さん(右)。この日のテーマはごみの分別だった

 十勝在住の外国人が増える中、管内の企業などが日本語教育の質の向上に力を入れている。酪農など農業現場で増えている外国人技能実習生への講習など、日本語教育の需要自体も高まる中、教室の開講や外国人通訳士の採用などの動きが活発化し、日本語教師に転身した人もいる。(高田晃太郎)

「学べる所少ない」
 「帯広には継続的に日本語を学べる場所が少ない。十勝に来て良かったと思ってもらうためにも、日本語能力の向上は不可欠」。7月の「とかち日本語教室」開講に向けて準備を進めるエネルギー業などの三洋興熱(帯広)。平哲也教室長は、教室を始める狙いをそう話す。

 授業を担当するのは、小・中学校で英語を教えていた元教師ら2人。元教師は法務省が日本語学校で教える条件として定める420時間の日本語教師養成講座を修了した。まずは身の回りの物の名前や、自分の意思を正確に伝えることを目指す初級コースを開き、半年ごとにレベルに応じたコースに進んでもらう。

 同社が12月に初めて受け入れる2人のベトナム人技能実習生にも、自前の日本語教室に通ってもらう考えだ。ただ、対象は実習生に限らず、学校で英語を教える外国人教師や留学生らも想定。

 平教室長は「さまざまな国籍の人が集まることで互いに刺激され、生活していく上での情報交換の場になれば」と期待する。

人手不足で急増
 道によると、十勝管内で住民票を取得した外国人は1924人(3月末現在)。介護や建設現場の人手不足などを背景に、統計を取り始めた2013年の982人から倍増している。

 特に急増しているのが技能実習生だ。実習生は入国前に母国で一定期間、日本語を学び、入国後も国から監理団体には1カ月の日本語講習が義務として課せられている。

 主にベトナムとフィリピンから実習生を受け入れ、酪農家にあっせんする監理団体「ワークテック協同組合」(大樹町)は、日本語能力検定で最上位の「N1」を持ち、母国で通訳として活躍するベトナム人を2年前に採用した。さらに帯広に30年以上住むフィリピン人も迎え入れた。

 配属までに語学訓練を積む実習生だが、それでも職場でコミュニケーションを取り、仕事がこなせるレベルまで日本語が上達するには厳しい現状がある。そのため、初めて実習生を受け入れる配属先では、2人が数日間付きっきりで通訳し仕事を覚えてもらう。

 協同組合の加藤明浩理事長は「配属後もメールなどで、仕事の悩みや日常生活の相談が母国語でできるため、実習生は安心して働ける」と手応えを話す。

転身して教師に
 一方、外国人の受け入れ拡大を見越し、日本語教師に転身した人も。音更町の杉山絵理さん(44)は帯広市内の建設会社で実習生の生活指導員を務めた経験から、「外国人のために役立てないか」と札幌の専門学校に通い、日本語教師養成講座を修了した。音更町の監理団体アシストワンパートナーズ協同組合から日本語講習の業務を委託され、3月中旬から週に5日、教壇に立っている。

 さらに10月からは、外国人が理解しやすい日本語を日本人向けに教える「やさしい日本語教室」を開く予定。杉山さんは「外国人といい関係を築くには企業側の努力も必要。両者の円滑なコミュニケーションへお手伝いしたい」としている。

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